平井村 (東京府)

平井村（ひらいむら）

平井村は、かつて東京府南葛飾郡に存在した村です。現在の東京都江戸川区の西部と葛飾区の南部にまたがる地域に位置していました。この村は、荒川放水路の設置という大きな出来事によって、その歴史に大きな転換期を迎えることになります。

歴史

平井村は、1889年（明治22年）5月1日に、町村制の施行に伴い、下平井村、中平井村、上平井村が合併して誕生しました。しかし、1914年（大正3年）4月1日、荒川放水路の建設に伴い、村の領域は分断されることになります。放水路の南側は小松川町へ、北側は奥戸村へそれぞれ編入され、平井村は廃止されました。

その後、1930年（昭和5年）11月3日には、奥戸村が町制を施行し奥戸町となりました。さらに、1932年（昭和7年）10月1日には、南葛飾郡全域が東京市に編入され、小松川町の区域は江戸川区となり、奥戸町の区域は葛飾区となりました。これにより、平井村の領域は、現在の江戸川区と葛飾区に分割され、それぞれの区の一部として組み込まれることとなりました。

現在の状況

現在の地名としては、江戸川区には「平井」という地名が残っています。一方で、葛飾区となった地域は、「新小岩」と改称されていますが、上平井水門、上平井橋、葛飾区立上平井小学校など、その名残をとどめる施設も存在します。また、葛飾区立上平井中学校は、移転後もその名を継承しています。これらの施設は、かつてこの地域に平井村が存在した歴史を今に伝えるものとなっています。

現在の住所でいうと、江戸川区平井、葛飾区西新小岩、東新小岩五丁目、六丁目、七丁目、八丁目（いずれも大体の範囲）が、平井村の領域にあたります。

経済

平井村は、かつて農業が盛んな地域でした。『大日本篤農家名鑑』によると、島村誠次郎や松本兼吉などが篤農家として名を連ねていました。彼らの努力によって、平井村の農業は発展してきたと考えられます。

まとめ

平井村は、荒川放水路の建設によってその姿を変えましたが、その名前は今もなお、この地域の一部に残り、歴史を語り継いでいます。平井村の歴史は、東京の都市化の過程で、地方の村がどのように変化していったのかを物語る貴重な事例と言えるでしょう。

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