平信業

平信業（たいらののぶなり）は、平安時代末期に活躍した後白河法皇の近臣です。保延4年（1138年）に生まれ、寿永元年（1182年）に45歳で亡くなりました。父は兵衛尉の平信重で、官位は五位・大膳大夫にまで昇りました。姉妹には、円恵法親王・定恵法親王の生母である坊門局や、平義範の妻がいます。

経歴

平信業は、久寿2年（1155年）に後白河天皇に寄せられた所衆、滝口の中に名前が見られます。後白河院政期に入ると、保元3年（1159年）に従五位下・右衛門尉に叙任されました。仁安元年（1166年）には従五位上に叙せられ、以降、後白河院の近臣として活動しました。

仁安2年（1167年）正月には、平滋子の女御家での侍始めに遠江守として出席しました。同年7月には、後白河院の新造山科殿への移転に関して、子息である平業忠の長門守任官の功績を訴え、増進を図っています。承安4年（1174年）には、後白河院の厳島行幸に業忠とともに供奉しました。安元2年（1176年）には異例の抜擢により大膳大夫に任ぜられました。

治承3年（1179年）の治承三年の政変で平清盛により院政が停止されると、信業は業忠とともに解官されました。しかし、翌治承4年（1180年）3月の後白河院出京の際には大膳大夫として出向いており、この頃には復任していたと考えられます。

寿永元年（1182年）7月14日に出家し、同年8月31日に亡くなりました。後白河院は信業の死を深く悲しみ、翌日に予定していた賀茂神社への参詣を取り止めたと伝えられています。

後白河院の近臣として、「法皇御第一者也」と評されたことからも、信業が後白河院からいかに信頼されていたかが窺えます（『山槐記』）。

官歴

保元3年（1159年）8月10日：従五位下、右衛門尉
仁安元年（1166年）11月14日：従五位上
仁安2年（1167年）正月27日：遠江守
安元2年（1176年）正月30日：大膳大夫
治承3年（1179年）11月17日：解官
治承4年（1180年）3月18日：大膳大夫
寿永元年（1182年）7月14日：出家。8月31日：卒去

系譜

父：平信重
母：不詳
妻：不詳
* 男子：平業忠（1160-1212）

平信業は、後白河院政期において、政治や儀式に深く関与した後白河院の側近として、その存在感を示しました。

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