平台貝塚

平台貝塚（ひらだいかいづか）

平台貝塚は、神奈川県横浜市中区本牧緑ヶ丘37付近に位置する、縄文時代前期の貝塚です。別名として、間門平台貝塚（まかどひらだいかいづか）や間門貝塚、真門貝塚とも呼ばれています。

概要

横浜市中心街の南、山手・本牧地区に広がる標高約50メートルの台地上、神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校の南側付近に所在します。この貝塚の存在は古くから知られており、1938年（昭和13年）に考古学者の酒詰仲男によって報告されました。

本格的な調査は、1966年（昭和41年）の緑ヶ丘高校卒業生による発掘調査を機に、神奈川県埋蔵文化財センターや横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センターによって複数回実施されています。これらの調査によって、斜面地に広がる貝層のほか、縄文土器（主に諸磯式土器）、石器、動物骨（魚類や哺乳類）、貝製品（貝刃や貝輪）など、多岐にわたる遺物が出土しました。

出土品について

平台貝塚から出土した遺物は、当時の人々の生活や文化を理解する上で貴重な資料となっています。

縄文土器: 諸磯式土器が主に出土しており、縄文時代の早期の土器様式を知る手がかりとなります。
石器: 当時の人々が使用していた石製の道具であり、狩猟や採集、調理などに用いられたと考えられます。
動物骨: 魚類や哺乳類の骨が出土しており、当時の食生活や自然環境を知る上で重要な情報源となります。
貝製品: 貝殻を加工して作られた貝刃や貝輪は、装飾品や道具として使用されたと考えられます。

調査の歴史

平台貝塚は、酒詰仲男による初期の報告以降、数多くの調査が行われてきました。特に、1966年の緑ヶ丘高校卒業生による発掘調査は、その後の本格的な調査のきっかけとなりました。神奈川県埋蔵文化財センターや横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センターによる調査では、詳細な遺構や遺物が発見され、平台貝塚の全体像がより深く理解されるようになりました。

まとめ

平台貝塚は、横浜市における縄文時代の生活を知る上で非常に重要な遺跡です。出土した土器や石器、動物骨、貝製品などは、当時の人々の文化や技術、自然環境との関わりを物語っています。今後の調査研究によって、さらに新たな発見が期待されています。

参考文献

酒詰仲男 1938年「神奈川縣下貝塚調査概報:「貝塚遺蹟による古代聚落の研究」の一部」『人類学雑誌』53号（1）日本人類学会 NAID 130003726555
酒詰仲男 1938年「神奈川縣下貝塚調査概報:「貝塚遺蹟による古代聚落の研究」の一部」『人類学雑誌』53号（2）日本人類学会 NAID 130003726559
酒詰仲男 1938年「神奈川縣下貝塚調査概報:「貝塚遺蹟による古代聚落の研究」の一部」『人類学雑誌』53号（3）日本人類学会 NAID 130003726563
岡野隆男 1973年『本牧緑ケ丘平台貝塚』 NAID BN13798774
神奈川県埋蔵文化財センター 1993年『平台貝塚:横浜市中区本牧緑ケ丘 横浜緑ケ丘高校敷地内試掘調査』NAID BN10619981
神奈川県立歴史博物館 2008年『神奈川県貝塚地名表』pp.40-41
横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター 2009年『埋文よこはま』19号 pp.1-3
横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター 2012年『中区No.12遺跡（平台貝塚）本発掘調査報告:中区本牧緑ケ丘地内道路整備工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書』NAID BB12052705

関連項目

酒詰仲男
神奈川県の貝塚の一覧

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