平和に対する罪

平和に対する罪

平和に対する罪（へいわにたいするつみ、英: crime against peace）は、侵略戦争や国際法、条約や協定に違反する戦争の計画、準備、開始、遂行、またはそれに関連する共同の計画や謀議に参加する行為を指します。この概念は、第二次世界大戦の終結後に明確化され、戦争犯罪の枠組みを象徴するものとなりました。

歴史的背景

1945年から1946年にかけて行われたフィンランド戦争責任裁判では、初めて「平和に対する罪」が適用されました。この提案は後にニュルンベルク原則として知られることになり、侵略戦争に対する個々の責任を具体化するものとして重要な意義を持ちました。ニュルンベルク裁判や極東国際軍事裁判においては、平和に対する罪はA級戦犯と呼ばれる戦争犯罪の一環として認識されました。

ただし、これらの裁判では、「事後法」の成立についての批判もあるため、法律の適用方法については多様な見解が存在します。特に、ドイツや日本の大陸法系においては、当初にこれを根拠に処罰されることに対し異論がありました。一方でアメリカやイギリスなどの英米法体系では、成文法に基づかない行為に対しても、国際慣習法に基づいた処罰が認められています。

例えば、ヴェルサイユ[[条約]]やパリ不戦条約では、すでに平和を破壊する行為が違法であることが確認されていました。また、1953年に制定された欧州人権条約の第7条では、犯行当時に文明国の法の一般原則に従い犯罪とされる行為が法の不遡及の例外として処罰されることを明示しています。同様に、自由権規約の第15条でもこの例外が言及されています。

ニュルンベルク原則と国際法の構築

ニュルンベルク原則は、第一次世界大戦後の15人委員会に起源を持ちます。この委員会は、オスマン帝国によるアルメニア人虐殺を「人道に反する罪」として取り上げましたが、アメリカや日本が反対意見を表明したため、より穏便な戦犯裁判の提案が行われました。そして、最終的に特定の戦犯が国内法に基づくライプツィヒ最高裁で裁かれることとなった歴史があります。この背景から、ニュルンベルク裁判は個人の責任を国際法の場で初めて裁く前例を作りました。

現代における意義

平和に対する罪という概念は、現在の国際連合の基盤にも影響を及ぼしています。国際連合憲章では、侵略行為の防止のために集団的措置を講じることが目的とされています。さらに、安全保障理事会は、平和に対する脅威を判断し、適切な措置を取ることを使命としています。ニュルンベルク裁判で定められた平和と人道の原則は、現在の国際法に大きく寄与しているのです。

このように、「平和に対する罪」は単なる歴史的経緯にとどまらず、現代においても国際的な法秩序を形成する重要な概念として存在し続けています。

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