平和のダム

平和のダムについて

平和のダムは大韓民国の江原特別自治道に位置し、北漢江にかかる重要なダムです。このダムは北漢江の楊口郡と華川郡にまたがり、1987年にその建設が始まりました。ダムの設計長さは410メートル、高さは125メートル、そして最大貯水量は26億3000万トンに達します。平和のダムは、上水道の供給や洪水の予防を目的としており、特に北朝鮮の任南ダムの建設に伴う水攻めの脅威から守るために計画されました。2002年から行われた2次増築工事を経て、2005年に最終的な完成を見ました。

建設の背景

ダムの建設に関する大きなきっかけとなったのは、1986年10月30日に当時の建設部長官である李圭孝の発表があり、北朝鮮に金剛山ダムの建設を中止するよう求めたことです。この声明の中では、金剛山ダムが北漢江を通り、休戦ライン以南に流れる年間18億トンの水供給を阻害するだけでなく、その崩壊が引き起こす被害が拡大する可能性について言及されました。特に、ダムによって生じる洪水が63ビルの半分を水没させる危険性が強調され、北朝鮮が1988年ソウルオリンピックを妨害する可能性があるとの懸念が示されました。

1986年の11月26日、韓国政府の国防部、建設部、文化公報部、統一院の長官たちが共同で談話文を発表し、平和のダムを建設する計画を明示しました。総工事費は1700億ウォンで、そのうちの約639億ウォンは国民からの寄付金で賄われました。ダムの起工式は1987年の2月28日に行われ、1989年には第一次工事が完了されました。

しかし、その後の監査において、金剛山ダムの貯水量は実際には59.4億トンであり、その脅威が誇張されていたことが分かりました。この結果、平和のダムの必要性も過大評価されていることが明らかになり、当初予定していた2次工事は一時中止されました。2002年に入ると、北朝鮮が水攻めを行わなくても金剛山ダムに安全上の問題が発生する兆しが見えたことから、韓国政府は平和のダムの2次増築工事を決定しました。

2002年5月に2次工事が発表され、9月に工事が開始されました。そして、2005年10月19日に完成しました。このダムの工事には、約3995億ウォンが投資され、地域住民への影響を考慮した取り組みも行われました。

現在、平和のダムは通常時には水を貯めない乾溜ダムとして運用されています。これは、洪水防止機能に重点を置いた設計となっていることを示しており、安定した水供給が求められる現代の社会において、重要な役割を果たしています。

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