平岡直樹

平岡直樹

平岡 直樹（ひらおか なおき）氏は、1960年に生まれ、日本の造園学分野で活躍する研究者です。その研究は、特にフランス幾何学式庭園における作庭技術の景観分析に焦点を当てています。長年にわたる学術的な探求を深め、博士（農学）の学位を取得しています。現在は、南九州大学環境造園学部において教授を務め、造園学の教育および研究の推進に貢献しています。

経歴

平岡氏は徳島県で生を受けました。造園学への道を志し、南九州大学園芸学部造園学科へ進み、1985年に同学科を卒業しました。大学で造園学の基礎を修めた後、さらなる学術的な研鑽を積むため、1996年に信州大学大学院農学研究科に入学しました。大学院在学中の1996年から1997年にかけては、国際的な視野を広げる貴重な機会として、ベルギー政府給費留学生としてブリュッセル大学（ULB）に留学し、国際的な視点から学びを深めました。

博士課程は、岐阜大学大学院連合農学研究科（信州大学所属）で学びを続け、2000年3月に課程を修了し博士号を取得しました。博士課程での学びは、専門分野である景観分析における理論的な基盤を確立する上で重要な期間となりました。

学術・教育分野でのキャリアは、博士号取得後、2001年に京都造形芸術大学芸術学部非常勤講師として教壇に立つことから始まりました。その後、研究・教育の中心を現在の南九州大学に移し、2004年に南九州大学環境造園学部造園学科へ着任します。当初は助教授（2005年には正式に助教授職に）として、教育・研究に携わり、その後2007年には同大学同学部の教授に昇任しました。以降、南九州大学を拠点に、活発な教育および研究活動を展開しています。

研究と業績

平岡氏の研究の核となるのは、フランス幾何学式庭園の作庭技術を景観分析の視点から深く掘り下げることです。フランス庭園が持つ独自の構成要素や設計手法が、歴史や文化とどのように結びついているのかを分析し、その意義を解き明かしています。この分野での顕著な研究成果は学術界でも高く評価されており、2001年には、その優れた研究論文に対し日本造園学会賞（研究論文部門）が授与されました。これは、日本の造園学界における研究者の主要な栄誉の一つであり、平岡氏の研究水準の高さを裏付けるものです。

学術研究に加えて、実作にも積極的に関与しています。特筆すべき作品として、1989年にベルギーで開催された大規模な国際文化交流イベント「ユーロパリア89 ベルギー日本博」における「苔、盆景、盆栽展」のための日本庭園作庭があります。これはベルギー国立植物園内に設けられたもので、国際的な舞台で日本の庭園文化を紹介する貴重な機会となりました。研究者としての深い知見と、実際の庭園設計・施工の経験が融合した業績と言えます。

主な著書としては、共著で以下の書籍があります。

森山雅幸（編著）『ランドスケープアーキテクチャーの起点』（ぎょうせい、2007年）
南九州大学環境園芸学部（編著）『自然をみつめて』（鉱脈社、2017年）

これらの著書を通じて、自身の研究成果や造園学に関する知見を広く社会に発信し、分野の発展に貢献しています。

平岡直樹氏は、専門分野であるフランス幾何学式庭園の景観分析における深い研究、大学での教育活動、そして国際的な実作経験を通じて、日本の造園学分野の発展に多岐にわたる貢献をしています。特に、南九州大学における教授としての役割は、地域における造園学の教育・研究拠点の強化に重要な役割を果たしており、今後のさらなる活躍が期待される造園学者です。

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