平成川島橋

岐阜県各務原市に位置する平成川島橋は、同市の川島笠田町と川島渡町の間で、木曽川本流に架けられた橋梁です。主要地方道である岐阜県道93号川島三輪線の一部を構成しており、特に「国営木曽三川公園」内にある河川環境楽園や、木曽川を挟んだ対岸に位置する138タワーパークといった、広域から多くの人が訪れるレクリエーション施設への重要なアクセスルートとしての役割を担っています。地理的には、近傍を通過する東海北陸自動車道が木曽川を渡る地点から、およそ200メートルほど上流側に位置しています。

この橋の名前が「平成川島橋」と名付けられた背景には、その建設時期が深く関わっています。岐阜県が整備計画を進め、県道の一部として建設した橋梁の中で、新しい時代である平成に入ってから最初に完成した橋であったことから、その時代の始まりを記念してこの名前が付けられました。

平成川島橋の具体的な諸元について見てみましょう。この橋は1996年（平成8年）8月8日に正式に供用が開始されました。この供用開始日には、少し特別なエピソードがあります。末広がりの数字として縁起が良いとされる「八」が日付に三つ並ぶことから、非常に吉兆な日を選んで橋の開通日としたと言われています。橋の全体の長さを示す延長は371メートルです。また、橋の幅員はおよそ10メートルあり、これには車両が通行するための車道部分だけでなく、両側に整備された歩道も含まれています。

橋の構造や、利用者のための付属設備にも特徴が見られます。平成川島橋の建設に先立ち、周辺の道路網との接続をスムーズにするために、その前後を結ぶ跨道橋が整備されています。具体的には、起点側（川島渡町側）には「渡北橋」が、終点側（川島笠田町側）には「笠田橋」が架けられており、これらは平成川島橋本体よりもやや早い1995年に竣工しています。また、平成川島橋自体のデザインにおいては、橋が架かる木曽川という自然環境との調和が図られています。例えば、橋の欄干や橋台の上部などには、木曽川の豊かな生態系の一部であるカモなどの水鳥をモチーフにした可愛らしい彫刻や像が設置されており、橋を通行する人々の目を楽しませています。さらに、橋の両脇に設けられた歩道には、それぞれ一箇所ずつではありますが、休憩用のベンチが設置されています。これらのベンチからは、雄大な木曽川の流れや、季節ごとに変化する周辺の自然景観をゆっくりと眺めることが可能です。そして、ただ景色を眺めるだけでなく、川辺に集まる野鳥を観察できるよう、ベンチの傍や橋台の上には、観察できる野鳥の種類を紹介する詳細な説明板も設置されており、自然学習の機会も提供しています。

歴史的な視点から見ると、平成川島橋は周辺の他の木曽川に架かる橋とは異なる一面を持っています。例えば、同じ各務原市川島地区にある旧川島橋など、かつては渡し船（渡船）によって人々が行き来していた歴史を持つ場所が存在するのに対し、平成川島橋が位置する場所には、そのような渡船の歴史があったという記録はありません。この橋の建設の直接的なきっかけは、当時の羽島郡川島町（現在は各務原市の一部）を通過する東海北陸自動車道の建設プロジェクトでした。この高速道路の建設に伴い、地域住民の日常生活における利便性を維持・向上させるための代替あるいは新たな交通路が必要とされ、その計画の中で平成川島橋の建設が具体化されました。加えて、ほぼ同時期に大規模な整備が進められていた河川環境楽園へのアクセスを担う主要道路としても位置づけられ、その役割を果たすべく建設が進められたという経緯があります。

このように、平成川島橋は単に木曽川を渡る交通路としてだけでなく、そのユニークな名称の由来や、縁起の良い日付を選んで供用を開始したエピソード、そして橋上に施された鳥の彫刻やベンチ、野鳥観察用の説明板といった様々な工夫を通じて、地域の交通を支えつつ、利用者や訪れる人々に自然との触れ合いや景観を楽しむ機会を提供する、多面的な機能と魅力を持つ橋梁と言えます。

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