平成15年台風第10号

平成15年台風第10号（アジア名：Etau）の概要

2003年8月、フィリピン東方海上で発生した台風10号は、アジア名「アータウ（Etau）」と命名されました。この台風は、発生後、勢力を増しながら北西に進み、沖縄本島を通過。その後、沖永良部島近海で最盛期を迎え、中心気圧945hPa、最大風速45m/sという非常に強い勢力となりました。

台風は発達しながら北北東に進路を変え、奄美諸島沿いを通過後、九州南海上を経て種子島の東海上へ。8月8日21時半頃、高知県室戸市付近に上陸しました。海水温が高かったため、上陸時も中心気圧950hPa、最大風速40m/sという強い勢力を維持。四国を中心に広範囲で暴風が吹き荒れました。

その後、台風は9日6時頃に兵庫県西宮市付近に再上陸し、勢力を弱めつつ北陸・東北地方を通過。本州を縦断し、10日2時頃に北海道襟裳岬付近に再上陸。その後、温帯低気圧へと変わりました。

各地への影響

台風の影響で、8月7日から9日にかけて、南西諸島から本州にかけての広い範囲で大雨が降りました。特に、高知県や徳島県では600mmを超える降水量を記録し、三重県、奈良県、和歌山県、熊本県、宮崎県でも400mmを超える大雨となりました。北海道の一部地域では、オホーツク海の低気圧から伸びる前線の影響も加わり、大雨に見舞われました。

この大雨により、日高支庁の厚別川が氾濫し、流域では浸水被害が多発しました。また、沖縄・九州・四国の一部では暴風となり、沖縄県名護市では最大風速29.9m/s（最大瞬間風速48.7m/s）、高知県室戸岬では最大風速49.8m/s（最大瞬間風速69.2m/s）を観測しました。さらに、九州、四国、近畿の一部では、最大潮位偏差が100cm以上に達しました。

特徴と被害

この台風は、1961年の第2室戸台風と似た進路を辿り、勢力を保ったまま四国に上陸しました。四国や関西地方では比較的被害が少なかったものの、北海道では大きな被害が発生。特に日高地方では、洪水による被害が深刻でした。競走馬牧場での壊滅的な被害は、競馬ファンに大きな衝撃を与え、警報伝達の遅れなども問題視されました。

台風の上陸後、進行速度が遅かったため、暴風が長時間続きました。この年の長引く梅雨と冷夏が重なり、被害を拡大させる要因となりました。

被害状況

死者：17名
行方不明者：2名
負傷者：94名
住家全壊：28棟
住家半壊：27棟
住家一部損壊：559棟
床上浸水：389棟
床下浸水：2,009棟
被害総額：351億円

外部リンク

災害をもたらした気象事例（台風第10号） - 気象庁ホームページ
平成１５年台風１０号による被害状況について (PDF) - 国土交通省
デジタル台風：台風200310号（ETAU）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）
2003年　台風10号 - NHK災害アーカイブス
2003年　台風10号（北海道） - NHK災害アーカイブス

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