平成17年台風第11号

平成17年台風第11号（マーワー）の記録と被害

平成17年（2005年）8月に発生した台風第11号は、マレーシアが命名した「マーワー」（ばら）というアジア名を持ち、日本に大きな爪痕を残しました。この台風の進路、勢力、そして各地にもたらした被害について詳しく見ていきましょう。

台風の概要と進路

8月19日18時、マリアナ諸島の北西海上で発生した台風11号は、北西に進みながら急速に発達し、非常に強い勢力となりました。8月21日18時から22日0時にかけて最盛期を迎え、その後、硫黄島の南西海上を通過する際に進路を北寄りに変え、潮岬南東海上では北東へと進路を変えました。8月26日2時過ぎには強い勢力を保ったまま三浦半島を通過し、4時半頃には千葉県千葉市付近に上陸しました。その後、進路を東寄りに変え、鹿島灘から本州の東海上に進み、8月28日0時に温帯低気圧へと変わりました。

各地への影響

台風が硫黄島の南西海上を北上していた8月24日には、九州・宮崎県で東からの湿った空気の影響により雨雲が発達し、宮崎市青島では1時間降水量が72mmという記録的な豪雨となりました。台風が関東地方に接近・上陸した8月25日から26日にかけては、伊豆諸島・関東地方・静岡県・山梨県・宮城県などで大雨となり、特に8月25日には、関東南部や静岡県、伊豆諸島などで日降水量が200mmを超え、神奈川県箱根町では528mmに達しました。

また、各地で強風も観測され、千葉県銚子市で39.6m/s、静岡県御前崎市で45.7m/sの最大瞬間風速を記録。伊豆諸島ではさらに暴風となり、東京都大島町では最大瞬間風速57.0m/sを記録しました。

被害状況

この台風により、関東地方、伊豆諸島、静岡県、山梨県、宮城県などで、住家の損壊や浸水、停電、断水などの被害が発生しました。長野県では強風による果実の落下被害も報告されています。

負傷者: 10人
住家半壊: 4棟
住家一部損壊: 148棟
床上浸水: 69棟
床下浸水: 259棟
千葉県: 23,000世帯が停電
神奈川県箱根町: 町営の温泉施設が破損し、温泉供給が停止
通信障害: KDDIとボーダフォンの基地局が停電し、東京都、静岡県、千葉県の一部地域で携帯電話が一時使用不能
農業被害: 収穫期を迎えた梨が強風で落下
インフラ被害: 静岡県西伊豆町で静岡県道59号伊東西伊豆線が決壊
鉄道事故: 吾妻線の列車が走行中に倒木に接触し、運転士が負傷

社会への影響

台風の影響は、交通機関やイベントにも及びました。

JR東海は、列車の運休により帰宅困難となった乗客のために東京駅に仮眠用の列車を用意しました。
8月25日に大阪ドームでツアーを行っていたSMAPは、飛行機の欠航を避けるため、大型バスで東京へ移動しました。
8月27日に予定されていた第30回流山花火大会は、江戸川の増水の影響で中止となりました。


台風11号（マーワー）は、各地に甚大な被害をもたらし、社会全体に大きな影響を与えた災害として、記憶されることでしょう。

もう一度検索