平成25年台風第18号

台風18号（マンニィ）：2013年秋の未曽有の大災害

2013年9月13日、小笠原諸島近海で発生した台風18号（アジア名：マンニィ）は、日本列島に甚大な被害をもたらしました。この台風は、その規模と強さ、そしてもたらした被害の広範囲さから、日本の気象史上重要な位置を占めています。特に、同年8月30日に運用開始されたばかりの特別警報が初めて適用された台風として記憶されています。

台風の進路と勢力

台風18号は、発生後しばらく西に進路を取り、父島近海を通過する際に大型の台風へと発達しました。その後、進路を北寄りに変え、上陸間際には中心気圧965hPaを観測。9月16日午前8時頃、愛知県豊橋市付近に上陸しました。その後、長野県、山梨県、群馬県、栃木県、福島県などを経て、岩手県山田町へと抜けていきました。

記録的な豪雨

台風18号は、秋雨前線を活発化させ、近畿地方と東海地方を中心に400ミリを超える大雨をもたらしました。三重県宮川では575.5ミリ、奈良県上北山では542.5ミリという総雨量を観測。各地で1時間雨量、3時間雨量、24時間雨量、48時間雨量の記録が更新されました。この大雨は、河川の氾濫や土砂崩れなど、様々な災害を引き起こしました。

竜巻と突風

台風接近前後の和歌山県、三重県、埼玉県、群馬県、栃木県、宮城県では、竜巻とみられる突風による被害が発生しました。気象庁の調査によると、この台風による竜巻の発生数は、突風調査強化後の最多となる10個に上ったと報告されています。また、北海道ではダウンバーストが発生し、被害が出ました。

日本への影響：広範囲にわたる被害

台風18号の被害は、日本全国に広がりました。

浸水被害

近畿地方、東海地方、北陸地方を中心に、大規模な浸水被害が発生しました。京都府では由良川、桂川流域で多くの家屋が浸水し、滋賀県でも広範囲に浸水が発生。特に京都府福知山市では、2004年の台風23号による集団移転地区で堤防の建設が完了していなかった部分から氾濫し、浸水被害が拡大しました。また、京都市では排水ポンプ場の停止により大規模な浸水が発生し、その後の裁判へと発展しました。その他、奈良県、三重県、青森県、岩手県、秋田県などでも、多くの家屋が浸水するなど甚大な被害が出ました。

交通への影響

台風18号の影響で、空の便、新幹線の運行、道路交通などに大きな支障が出ました。特に近畿地方、東海地方では広範囲で交通が麻痺。滋賀県では信楽高原鉄道の橋梁が流出し、長期にわたる運休を余儀なくされました。また、高速道路の崩落、国道の通行止め、鉄道の運休など、交通網は大きな打撃を受けました。

原子力施設への影響

福井県の高速増殖炉「もんじゅ」では、連絡道路の土砂崩れにより孤立状態となり、通信回線が断線する事態が発生しました。また、東京電力福島第一原子力発電所では、汚染水タンクの水位上昇への対応として、海への放水が行われました。

その他の影響

スポーツイベントの中止、プロ野球や公営競技の中止、避難指示・勧告の遅れなど、様々な側面で影響が出ました。避難指示の周知不足や避難所の場所の把握不足といった行政課題も浮き彫りになりました。

行政の対応

政府は、関係省庁災害対策会議を開催し、調査団を派遣するなど、災害対応に当たりました。防衛省は、水防活動や孤立者の救助活動などに自衛隊を派遣しました。国土交通省は、緊急災害対策派遣隊（TEC-FORCE）を派遣し、排水作業や被災調査を実施しました。

福知山市浸水訴訟

福知山市石原地区の住民3名が、市の責任を追及する訴訟を起こしました。この訴訟は、自治体による造成地の浸水リスクに関する行政責任を問う日本初の事例となり、2020年には一審判決で市の説明責任を果たさなかった点が認定され、一部賠償が認められました。

まとめ

台風18号は、日本に未曽有の被害をもたらした台風として、歴史に刻まれました。その規模、強さ、そして被害の広範囲さから、災害対策の重要性を改めて認識させ、今後の防災対策に貴重な教訓を残すものとなりました。

もう一度検索