平成28年台風第14号

平成28年台風第14号（ムーランティ）

平成28年台風第14号、通称ムーランティ（Meranti）は、2016年9月に発生した特に強い台風であり、台湾や華南地域に深刻な被害を引き起こしました。この台風は、その急速な発達とともに、過去の事例と比較しても非常に強い勢力を誇りました。具体的には、中心気圧が890hPaを記録し、これは2013年の台風30号以来、900hPaを下回る中心気圧が公式に確認されたことになります。

発生と経過

ムーランティは2016年9月7日にグアム島の南方で発生した低気圧から発展しました。合同台風警報センター（JTWC）はこの低気圧の発達を確認し、熱帯低気圧形成警報を出しました。9月8日には台湾の気象庁がこの低気圧を熱帯低気圧と認定し、以降、台風番号16Wとして警戒情報を発表しました。この台風は9月10日には正式に台風14号とされ、マレーシアにより「ムーランティ」という名前が付けられました。

台風は発生当初、中心気圧1,000hPa、最大風速18m/sでしたが、その後急速に発達。9月12日には最大風速60m/s、瞬間風速は85m/sに達し、13日には890hPaまで中心気圧が低下しました。この時、JTWCは「スーパー台風」として警戒を呼び掛けました。

台風は14日に台湾に最接近し、15日未明には中国本土に上陸しました。上陸時には中心気圧945hPa、最大風速約64m/sを記録し、この数値は1949年以来の規模となりました。台風はその後、華南で熱帯低気圧へと変わりましたが、進路は前年の台風1号に似ていました。

被害状況

ムーランティがもたらした被害は深刻でした。フィリピン北部では300棟近くの家屋が倒壊し、900棟以上が被害を受けました。続く台湾でも、2名の死亡が確認されるほか、約100万世帯が停電し、72万世帯が断水する事態となりました。特に適した地点では風速が驚異的で、玉山での最大瞬間風速は38.5m/sを記録しました。

中国の福建省では、台風の影響により、18人が死亡し、11人が行方不明になるなどの深刻な事態が発生しました。福建省においては、800年の歴史を持つ橋の破壊を含む大規模な被害が報告され、この地域での死者数は合計で45人に達しました。

総じて、ムーランティによる死者数は47人、経済的損失は4,790万ドルに及び、非常に大きな影響を与えたことがうかがえます。

その他の情報

ムーランティの名称は、「木の名前」に由来しているものの、この台風の後には使用が中止されることになり、次回の台風には「ニヤトー（Nyatoh）」という名が使われる予定です。このように、ムーランティはその強力な威力とともに、今後の台風名に影響をあたえる存在となりました。

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