平成28年台風第16号

平成28年台風第16号（マラカス）の詳細

2016年9月に発生した台風16号は、アジア名「マラカス」、フィリピン名「ジェナー」と呼ばれ、日本列島に大きな爪痕を残しました。この台風は、2016年において初めて西日本広域に甚大な影響を及ぼした台風として記録されています。

台風の発生と進路

台風16号は、9月9日に太平洋上で発生した低気圧が発達し、9月12日に熱帯低気圧となりました。合同台風警報センター（JTWC）はこの熱帯低気圧に18Wという番号を割り当て、気象庁は24時間以内に台風へと発達すると予想しました。9月13日、フィリピンの東で台風16号「マラカス」が発生し、フィリピン大気地球物理天文局（PAGASA）は「ジェナー」と命名しました。

台風はフィリピン海を北西に進んだ後、進路を北寄りに変え、台湾の東海上、東シナ海を経て九州に接近しました。9月20日未明には、非常に強い勢力のまま鹿児島県大隅半島に上陸し、その後四国南岸を東進、紀伊半島に再上陸しました。その後、温帯低気圧へと変わり、秋雨前線に吸収され消滅しました。

台風の特徴

台風16号は、接近前から秋雨前線に湿った空気を送り込み、各地で記録的な大雨を引き起こしました。特に愛知県岡崎市では、1時間に約100ミリという猛烈な雨が観測されています。台風が鹿児島県大隅半島に上陸した際の勢力は非常に強く、中心気圧は945hPa、中心付近の最大風速は45m/sに達しました。

気象庁の事後解析では、上陸直前の中心気圧は955hPa、最大風速は40m/sに修正され、勢力は「強い」とされました。当初、「非常に強い勢力」で上陸したと報道されましたが、事後解析で修正されたため、この報道は取り消されました。この台風は2016年に上陸した6つ目の台風であり、これは観測史上2番目の多さとなります。

気象状況

台風と前線の影響で、東日本から西日本にかけて広範囲で大雨となり、西日本では平年の9月降水量の1.5倍を超える地域も出ました。鹿児島県枕崎市では1時間に115ミリという猛烈な雨を観測しました。

1時間雨量では、鹿児島県枕崎市で115.0ミリ、宮崎県宮崎市で110.5ミリ、宮崎県児湯郡高鍋町で110.0ミリを記録し、宮崎県内の2地点では観測開始以来の極値を更新しました。また、24時間雨量では、宮崎県日向市で578.0ミリ、宮崎県延岡市で445.5ミリを記録し、こちらも観測開始以来の極値を更新しました。

被害・影響

台風16号は、各地に甚大な被害をもたらしました。

影響: 避難指示が10府県19市町村、避難勧告が20府県102市町村に発令されました。与那国町では停電が発生し、沖縄県内では多くの船便が欠航しました。九州電力管内では、鹿児島県を中心に広範囲で停電が発生し、JR九州の指宿枕崎線では倒木のため運休となりました。
被害: 死者1名、重傷者11名、軽傷者33名が出ました。住宅被害は、全壊1棟、半壊2棟、一部損壊108棟、床上浸水330棟、床下浸水639棟に及びました。沖縄県では農作物や畜産施設に被害が発生し、被害総額は3093万円に上りました。鹿児島県では、石橋が流失したり、国道が寸断されたり、風力発電の風車が倒壊するなどの被害が発生しました。高知県では、土砂崩れにより市道が通行止めとなり、孤立した住民も発生しました。

行政の対応

政府は、関係省庁災害警戒会議や対策会議を開催し、情報連絡室を設置しました。国土交通省は、排水ポンプ車を被災地に派遣し、内水排除作業を行いました。

まとめ

平成28年台風第16号は、記録的な大雨と暴風により、西日本を中心に甚大な被害をもたらした台風でした。上陸時の勢力や被害状況、そして観測史上2番目に多い上陸数など、様々な点で特筆される台風となりました。

脚注

デジタル台風：台風201616号（MALAKAS）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）

関連項目

* 秋雨前線

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