平成28年台風第18号

平成28年台風第18号について

平成28年台風第18号はアジア名チャバ、フィリピン名イグメと称され、2016年9月29日に発生しました。台風は発生から沖縄付近で猛発達し、韓国南部を襲うなど影響が広がりました。特に、強風や大雨によって、多くの地域で大きな被害が出ました。

台風の発生経過

2016年9月26日頃、ウェーク島西方海域で発生した低気圧（98W）が次第に発達し、合同台風警報センターはその日に熱帯低気圧形成警報を出しました。この低気圧は、28日3時に気象庁によって台風へと昇格が宣言され、その際、発生日時の事後解析が行われました。28日には、JTWCが熱帯低気圧番号21Wを付与し、同日15時には台風として認定された後、アジア名チャバという名前が付けられました。また、同じ日にフィリピンの監視地域に達し、フィリピン名・イグメも付与されました。

台風は徐々に北西に進路をとり、10月3日15時には久米島の南に達し、中心気圧915ヘクトパスカルという猛烈な勢力に達しました。828日18時にはさらに発達し、中心気圧905ヘクトパスカル、最大風速60メートルに到達しました。この時、気象庁は沖縄本島地方に対し、大雨、暴風、波浪、高潮の特別警報を発表しました。

その後、台風は東シナ海を北上し、進路を東寄りに変えながら5日未明に韓国の済州島、正午頃には釜山に上陸し、大規模な被害を引き起こしました。台風は対馬海峡を通過して日本海に進み、一時は観測史上初めて台風が新潟県に直撃する可能性もありましたが、21時には温帯低気圧へと変わりました。

影響と被害状況

台風が韓国南部を通過した際には、強風と豪雨が伴い、沿岸地域の約23万世帯が停電に見舞われました。特に済州島では最大瞬間風速56.5メートルを記録し、洪水が発生しました。これにより、6人が死亡し、4人が行方不明となりました。さらに、道路の冠水や空の便の頻繁な欠航、停泊中の漁船の船員が行方不明になるなど、被害は広範囲に及びました。

また、釜山では900校以上の学校が休校となり、予定されていた釜山国際映画祭（BIFF）関連イベントの一部も中止になるなど、大きな影響が出ました。特に海雲台海水浴場では、強風の影響で設置された屋外ステージが倒壊するという事態が発生しました。

工業都市の蔚山では現代自動車の工場が洪水に襲われるなど、地域経済にも大きな打撃がありました。梧桐島では防波堤を歩いていた船員ら6人が高波に遭遇し、海に投げ出される事故が起きましたが、幸いにも全員が救助されました。済州市内では、工事現場のタワークレーンが倒壊し、近隣住民が避難を余儀なくされるなど、事態は深刻でした。済州火力発電所でも2基が稼働停止となり、さらに2万4,998世帯が停電しました。

このように、平成28年台風第18号チャバは日本や韓国において深刻な影響を及ぼし、多くの人々の生活に直接的な打撃を与えました。

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