平成29年台風第5号

平成29年台風第5号の概要

平成29年台風第5号（アジア名：ノルー）は、2017年7月20日に南鳥島近海で発生し、8月8日に温帯低気圧へと変わった、日本における特異な経路をたどった台風です。この台風は7月20日に発生し、19日間も台風として存在しました。考えられる理由から、この台風は日本列島に長い間影響を及ぼしたことで、特に記録的な大雨をもたらしました。

台風の発生と進行

台風第5号は、最初にウェーク島の北北西海上で普通の低気圧として発生しましたが、時間が経つにつれ熱帯低気圧に変化しました。さらに、7月20日21時には南鳥島近くで正式に台風として認められており、最初の段階では最大風速は18 m/s、中心気圧は1008 hPaでした。この初期段階では、西へ進むと予測されていましたが、異なる影響を受けて運行が複雑になりました。

迷走する経路

通常、台風は太平洋高気圧に沿って北上しますが、台風第5号の場合はこの高気圧から離れた地点で発生したため、風の影響を弱めました。また、他の台風との相互作用も影響しています。この現象を「藤原の効果」といい、これにより台風は大きな楕円を描くような進路をとり、小笠原諸島近海を迷わせました。

7月28日には小笠原に接近し、その影響で父島には暴風域が及びました。この際に、父島は最大瞬間風速29.8 mを記録し、母島では24時間雨量で109 mmを観測しました。

勢力の強化と接近

小笠原諸島で暴風雨をもたらした後、台風は北西方向に進路を変えました。7月30日3時には中心気圧が980 hPaとなり、1日後の31日には950 hPaに急降下。その為、最大風速は45 m/sにまで達し、「非常に強い」まま九州・四国に近づいていきました。
台風による影響が大きかったのは、海面の温度が高いことによってエネルギーを蓄えられたからと考えられます。その後、台風は奄美大島に影響を及ぼし、気象庁は「50年に一度」の大雨が降るとして警報を発令しました。

九州上陸と和歌山県への到達

8月7日になり、ついに和歌山県北部に上陸しました。その後、東海地方や近畿地方を暴風域に巻き込み、北陸地方も気象の影響を受けました。8日には日本海を抜け温帯低気圧に変わるまで、台風としての特異な進路を維持しました。

大雨とその影響

この台風によって、西日本や東日本の広範囲にわたって激しい降雨が観測されました。特に奄美地方や琵琶湖周辺では記録的な大雨となり、各地に浸水、氾濫の被害をもたらしました。被害は住宅だけでなく、農業やインフラにも及び、多くの人々が避難を余儀なくされました。

さらに、人的被害も出ており、死者2人、負傷者51人の報告がありました。全国的に避難勧告も発令され、災害対策本部が設置されるなど、緊急的な対策が取られました。

結論

台風第5号は、長寿台風として数々の記録を残し、その経路や影響の複雑さが日本全体に与えた影響は非常に大きなものでした。台風に伴う大雨や風による被害は、周辺地域の生活にも大きな影響を与え、自然災害の恐ろしさを再認識させる出来事となりました。

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