平生三郎

平生三郎：ラグビーと国際ビジネスのパイオニア

平生三郎（1911年2月11日 - 1973年3月18日）は、日本のラグビー界と実業界で輝かしい功績を残した人物です。兵庫県出身の彼は、旧制甲南高等学校から京都帝国大学に進学し、大学時代はラグビー部に所属していました。

1928年には東西学生ラグビーフットボール対抗王座決定戦で優勝を経験するなど、学生時代からその実力を発揮しました。1932年には、カナダ代表来日試合において、2試合に渡り活躍。当時注目を集めていた柯子彰選手とのセンターコンビで勝利に貢献し、日本のラグビー界にその名を刻みました。日本代表として2キャップを記録しています。

大学卒業後は呉羽紡績に入社。その後、彼のビジネスにおける真価が問われることになります。1955年、平生はエルサルバドルの実業家アンドレス・モリンス氏と手を組み、エルサルバドルへの工場進出を実現させました。これは、第二次世界大戦後の日本企業による初の海外進出事例であり、当時エルサルバドルに日本大使館が存在しなかったことを考えると、その先見性と大胆な決断は特筆に値します。この事業は、平生三郎の国際的なビジネスセンスと、困難な状況下でも成功を収めるための粘り強さを示す、象徴的な出来事となりました。

しかし、呉羽紡績は後に経営不振により東洋紡績に吸収合併され、エルサルバドルの工場はユサ社へと移行しました。平生は東洋紡績の副社長として活躍を続けました。

1973年、東洋紡ブラジルへの出張からエルサルバドルに向かう途上、急逝しました。享年62歳。彼の死は、多くの人々に衝撃を与えました。彼の急逝後、当時の東洋紡会長である伊藤恭一氏は、エルサルバドルに50万ドルを寄付しました。この寄付金は、平生三郎の功績を称え、サンサルバドル市内に日本庭園と植物園を併設した『サブロー・ヒラオ公園』（約5万㎡）の建設に充てられました。この公園は、今日でもエルサルバドルの人々にとって、日エルサルバドル友好の象徴として大切にされています。

平生三郎は、ラグビー選手として、そして実業家として、日本とエルサルバドルの架け橋となり、両国の発展に大きく貢献しました。彼の功績は、スポーツ界とビジネス界の双方に大きな足跡を残し、後世に語り継がれるべきものです。彼の生涯は、困難を乗り越え、常に挑戦を続けることの大切さを教えてくれます。彼の勇気と先見性は、現代社会においても、多くの人々に勇気を与え続けるでしょう。

参考文献

平生三郎公園についての東洋紡からの寄稿 - 100倍楽しむ海外旅行
ザ・ワールドラグビー（大友信彦 編、新潮社、ISBN 4104627011）43ページ
* ラグビー日本代表激闘の記憶（ベースボール・マガジン社、ISBN 9784583620497）55ページ

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