呉羽紡績

呉羽紡績株式会社の歴史

呉羽紡績株式会社は、1929年に設立された日本の紡績会社です。設立当初から大日本紡績連合会の会員であり、十大紡績の一つとして名を馳せました。後に東洋紡績（現：東洋紡）と合併し、その歴史に幕を閉じます。

設立の背景

1929年、富山紡績の増資を機に、新たな会社として呉羽紡績が設立されました。創立総会は7月12日に開催され、主な発起人には、2代目伊藤忠兵衛をはじめ、富山紡績の関係者、そして児玉一造、豊島久七、浅野総一郎、松岡潤吉、岸本吉左衛門、平生釟三郎、森村市左衛門など、当時の財界を代表する人物たちが名を連ねました。設立時の資本金は1千万円で、本店は大阪市東区に置かれました。

事業の拡大と発展

呉羽紡績は、富山県婦負郡呉羽村に第1工場を、上新川郡熊野村に第2工場を設置し、事業を拡大しました。第1工場では36,300錘の紡績機と192台の全自動織機を導入し、第2工場ではイギリス製のフラット紡機を使用して、主にイギリス領インド帝国向けの織物を製造しました。1937年には、5つの工場を運営し、最新設備への投資や従業員の賃金増額、団体生命保険への加入など、従業員の待遇改善にも力を入れました。

戦時下の転換

1942年には、商工省の指定により化学工業統制会のメンバーとなり、戦時体制下では化学工業分野にも関与しました。1944年には、一部の部門が独立し、呉羽化学工業株式会社（現：クレハ）が設立されました。また、同年に呉羽紡績は他の企業と合併し、大建産業となりました。

戦後の再編と終焉

終戦後、呉羽紡績は過度経済力集中排除法の適用を受け、伊藤忠商事、丸紅などと共に分割されました。その後、呉羽紡績は紡績事業を再開しましたが、1966年に東洋紡績と合併し、その歴史に幕を閉じました。

主な出来事

1921年：富山紡績設立。伊藤忠兵衛の次男、2代目忠兵衛が設立に関与。
1929年：呉羽紡績設立。
1934年：富山紡績を合併。
1939年：昭和人絹を吸収合併。
1943年：足利紡績と合併。
1944年：呉羽航空機株式会社を設立。
1944年：呉羽化学工業株式会社（現：クレハ）が独立。
1944年：三興および大同貿易と合併し、大建産業となる。
1949年：過度経済力集中排除法の適用を受ける。
1966年：東洋紡績と合併。

呉羽紡績は、日本の紡績業界の発展に大きく貢献した企業であり、その歴史は現代の化学工業や自動車産業にも影響を与えています。特に、呉羽紡績から独立したクレハは、化学メーカーとして現在も高い評価を得ています。

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