平荘町

平荘町（へいそうちょう）

加古川市の北中部に位置する平荘町は、「へいそうちょう」と読まれ、かつては印南郡平荘村として知られていた地域です。本稿では、この平荘町とその前身である平荘村について解説します。

概要

平荘町は、加古川市の中でも北寄りの中心部に位置しています。町域には、平荘町山角、平荘町神木、平荘町新中山、平荘町上原、平荘町中山、平荘町磐、平荘町養老、平荘町里、平荘町池尻、平荘町西山、平荘町小畑、平荘町一本松の12の大字が含まれています。その地名は、古くからこの地に存在した荘園である「平之荘村」に由来すると伝えられています。この地域は、地理的な特徴として、播磨工業地域への工業用水を供給するための重要な水源地となっており、平荘湖や権現ダム湖といった人造湖が設けられています。

歴史

平荘町の歴史は、明治時代にさかのぼります。明治22年（1889年）4月1日、町村制が施行されたのに伴い、印南郡に属していた山角村、養老村、里村、池尻村、西山村、小畑村、一本松新村、神木村、上原村、中山新村、磐村の11村が合併し、印南郡平荘村として発足しました。その後、昭和30年（1955年）4月1日には、印南郡上荘村および加古郡八幡村と共に加古川市に編入され、現在の平荘町となりました。地域の景観や機能にも変化が見られ、昭和41年（1966年）には平荘湖が、そして昭和57年（1982年）3月には権現ダムが相次いで建設されました。これらの施設は、地域の水資源管理において重要な役割を担っています。また、町内の区画整理などにより、昭和48年（1973年）7月17日には、新たに平荘町新中山という大字が設けられています。

交通

町内の公共交通は、主に神姫バスによる路線バスが運行されており、住民の移動手段として利用されています。道路網に関しては、兵庫県道65号（神戸加古川姫路線）や兵庫県道79号（高砂加古川加西線）といった主要な県道が通っており、地域内外を結んでいます。その他、兵庫県道375号（平荘市場線）や兵庫県道387号（平荘魚橋線）などが地域の幹線道路を補完しています。さらに、兵庫県道572号は播磨中央自転車道線として整備されており、サイクリングを楽しむ人々にも利用されています。広域交通においては、山陽自動車道が近接しており、町内には権現湖PAが設置されています。

公共施設と教育

平荘町には、地域の教育機関として、義務教育を一貫して行う加古川市立義務教育学校両荘みらい学園があります。また、生活を支える施設として、平荘郵便局が設置されています。その他、自然環境の中で様々な体験ができる加古川市立少年自然の家や、市内の廃棄物処理を担う加古川新クリーンセンターといった公共施設も所在しています。

主な寺院と神社

平荘町には、歴史を刻んできた数多くの寺院や神社が存在します。代表的な寺院としては、高野山真言宗の報恩寺（山号：印南山、本尊：十一面観音菩薩、建治元年/1275年開基）、曹洞宗の地蔵寺（山号：尋命山、本尊：地蔵菩薩、享保6年/1721年開基）、同じく曹洞宗の長楽寺（山号：安清山、本尊：十一面観音菩薩、建治元年/1275年開基）、そして浄土真宗本願寺派の称専寺（山号：平松山、本尊：阿弥陀如来、享保9年/1724年開基）などが挙げられます。神社においては、かつては報恩寺の神宮寺であったとされる郷社・平之荘神社（祭神：品陀別神など）をはじめ、熊野神社（祭神：熊野権現）、芝天満宮（祭神：菅原道真）、八坂祇園社（祭神：祇園）などが地域の信仰を集めています。

文化財

平荘町には、貴重な文化財が多数伝えられています。兵庫県指定文化財としては、古塔である石造十三重塔（昭和37年指定）、石造五輪塔（昭和50年指定）、石造宝篋印塔（昭和50年指定）や、仏像の釈迦三尊十六善神像（平成16年指定）があります。加古川市指定文化財には、信仰の証である板碑として弥陀三尊種子板碑・釈迦三尊種子板碑（平成3年指定）、胎蔵界大日一尊種子板碑及び地蔵立像（平成3年指定）が含まれます。また、報恩寺に関連する播州印南郡報恩律寺七堂図(参詣曼荼羅図)（平成12年指定）や、石仏である六尊石仏（平成20年指定）、八尊石仏（平成21年指定）も指定されています。その他、平之荘神社の神輿（平成13年指定）や、大般若経（平成14年指定）といった歴史的資料も市の文化財として保護されています。

平荘町は、加古川市の北部に位置し、水資源供給の拠点としての役割を担う一方で、古くからの集落の歴史や、多くの寺社・文化財が息づく地域です。これらの要素が組み合わさり、自然と歴史が調和した独特の景観と文化を形成しています。

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