平遠 (装甲巡洋艦)

平遠（へいえん）－清国初の国産装甲巡洋艦

平遠は、中国清国が造船した初の国産装甲巡洋艦です。艦名は最初「龍威」として起工されましたが、北洋艦隊への編入時に現在の「平遠」に変更されました。艦の設計には先進的な要素が含まれ、フランスから輸入した装甲とドイツのクルップ社製の砲を搭載していました。

艦歴の概要

艦の建造は1886年、福州の馬尾造船廠で始まり、1888年に進水、1889年に艤装が完了。その後、1890年に北洋艦隊に正式に編入されると、日本の脅威に対応するために中国海軍の重要な一員として活躍しました。特に、1894年に発生した日清戦争では、黄海海戦に参加し、日本の艦船「松島」と交戦しました。この戦闘では、自艦の主砲と魚雷発射管にダメージを与えましたが、自身も日本の攻撃に遭い、威海衛へ撤退を余儀なくされました。

そののち、1895年に日本海軍に鹵獲され、正式に編入されました。日本海軍に組み入れられた際も艦名は変更されず、艦の運命はその後も続きました。

日露戦争と沈没

日清戦争後の1898年、平遠は一等砲艦に類別されました。1904年の日露戦争に際しては、旅順攻略作戦に参加しましたが、運命はそこから悪化します。同年の9月18日、平遠は鳩湾方面に出向いた際に消息を絶ちました。捜索を行った別艦「済遠」が9月20日に生存者4名を発見し、その情報によれば、平遠は哨戒から戻る途中に触雷し、沈没してしまったとのことでした。この事態により、艦長の浅羽金三郎中佐以下、193名が命を落としました。

翌年の1905年には、平遠は除籍処分とされ、その艦歴は幕を閉じました。

艦長について

平遠を指揮した艦長には多くの軍人が名を連ねており、1896年から始まる艦長の履歴によると、柏原長繁、大塚暢雄、浅羽金三郎などがその役割を担いました。特に、浅羽艦長は最後の艦長として、平遠の運命を掌握しつつありました。その管理の下で、艦は数々の戦役を経て、激動の時代を乗り越えていきました。

結論

平遠の艦歴は、日清戦争から日露戦争にかけての日本と中国の軍艦の交流を象徴するものです。艦名が変わらなかったことは、その歴史の一部として、今日でも多くの人々に記憶されています。今では、平遠は海軍の歴史の中で重要な役割を果たした艦であり、その消えた艦体の背後には多くの物語があります。

もう一度検索