平野信助

平野 信助の生涯と将棋人生

平野信助（ひらのしんすけ）は、1891年5月19日に青森県の青森市で生まれました。彼の将棋の道は、幼少期から始まりますが、その経歴は決して平坦ではありませんでした。青森中学校を卒業後、第一高等学校を受験しましたが不合格となり、第二高等学校に進学。当初は医学を学ぼうとしましたが、18歳の時に肺結核を発症し、進学を断念することとなります。

高校を中退し、青森に帰郷した平野は、将棋の道に足を踏み入れます。知り合った杉野岩太郎（当時二段）に対して強い憧れを抱き、彼を目標に棋力を高めていきます。杉野は平野の才能を見抜き、1918年の春に上京を勧め、平野は井上義雄の内弟子となり、付け出し四段となります。この時期に将棋同盟社に入会し、彼の棋士としてのキャリアが始まりますが、身体の不調により一度青森に帰ることとなりました。

1924年、平野は再び上京し、大崎熊雄の門下に入門します。この頃には五段を取得し、1928年には六段へと昇進しました。なお、彼の四段昇段は、後にプロ棋士制度が確立されることとなりますが、当時は特別な段位ではありませんでした。1934年に大阪で升田幸三が初段となった時期と同時に、奨励会が設立され、「四段からがプロ棋士」とされる新たな制度が確立されていきました。

平野は1943年、満州国将棋大成会の発足に伴い現地へ赴任し、その際に七段に昇段しましたが、帰国後に病を患い、結果として六段のまま扱われました。終戦後の1945年、平野は青森に帰郷しましたが、その後の1946年に行われた順位戦ではB級クラスで参加し、残念ながら14戦全敗という結果に終わります。青森と東京を往復しての対局が堪えたこともあり、順位戦の参加はこれ一回限りとなり、1947年に引退を決意しました。

彼の棋界での貢献は評価され、1964年には棋界功労者表彰式で七段が贈与されました。しかし、彼の人生は悲劇的な幕を閉じます。1965年12月12日、水難事故により彼は亡くなります。享年74歳という短い生涯でしたが、将棋界に残した功績は大きく、多くの棋士や将棋ファンに記憶され続けるでしょう。

昇段履歴

• - 1918年（大正07年）付け出し四段（井上義雄門下）
• - 1924年（大正13年）五段（大崎熊雄門下）
• - 1928年（昭和03年）六段
• - 1947年（昭和22年）引退
• - 1964年（昭和39年）七段（贈与）
• - 1965年（昭和40年）死去

平野信助の将棋人生は、多くの挑戦と苦悩に満ちたものでしたが、その中で示した情熱と才能は、今なお将棋界で語り継がれています。

もう一度検索