平野勝之

平野 勝之: 日本の映画監督・AV監督

平野勝之（ひらの かつゆき、1964年生まれ）は、静岡県浜松市出身の日本の映画監督およびアダルトビデオ（AV）監督であり、元々は漫画家としても知られています。彼はアマチュア時代から8mmカメラを使用して映像作品を制作し、ぴあフィルムフェスティバルでは常連として参加していました。平野監督は8mmの作品『雷魚』を制作後に上京するものの、なかなか企画が通らず、生活に困窮する日々が続きました。彼は時にはコンビニでおにぎりを万引きして凌ぐこともありました。

また、マンガ家としても活動していた平野は、作品集『ゲバルト人魚』を出版しています。彼のキャリアの転機となったのは、友人である小坂井徹の紹介でアダルトビデオ制作会社「シネマユニット・ガス」に入社したことです。そこで彼は、初のAV作品『由美香の発情期』を監督しました。当初は自身の作品に対し高い期待を抱いていましたが、編集後には期待を裏切るような出来栄えに失望したといいます。この経験が彼にとって重要な教訓となり、AV制作を続ける決意を固めました。

シネマユニット・ガスに入社した後、平野監督は『水戸拷悶』や『ザ・タブー』などの独自のスタイルを持つAV作品を監督し、多くのファンに支持されることになります。2004年にはシネマユニット・ガスを退社しフリーランスとなった彼は、その後も様々な作品を手掛け、特に『わくわく不倫旅行』シリーズが劇場で公開されることにより、映画監督としての評価が高まりました。

彼のプライベートでは、単体AV女優の林由美香と不倫関係にありました。2011年には、彼女の死を題材にした映画『監督失格』を監督し、同年には公開されました。この作品は、アニメ監督の庵野秀明が実写映画をプロデュースした初のケースであり、音楽は矢野顕子が担当している点も注目されます。

平野は、AV女優を選ぶ際に、真剣に自分に向き合ってくれる女優を求める傾向があります。このアプローチは時にAV女優にプレッシャーを与え、過酷な制作環境を生み出すことがあります。彼はまた、自転車旅行をテーマにした「自転車三部作」にも取り組んでおり、北海道の厳冬期に自ら走って撮影した『白 THE WHITE』はベルリン国際映画祭に出品されています。

主な監督作品

映画

• - ホタル（1984年/8mm） - ぴあフィルムフェスティバル一次審査通過
• - 狂った触角（1984年/8mm） - ぴあフィルムフェスティバル入選（ほしのあきら推薦）
• - 愛の街角2丁目3番地（1986年/8mm） - ぴあフィルムフェスティバル観客賞受賞

アダルトビデオ

• - 水戸拷悶（1992年）
• - わくわく不倫旅行シリーズ（1997年以降）
• - 監督失格（2011年）

著作

• - ゲバルト人魚―作品集（1994年）
• - 自転車不倫野宿ツアー―「由美香」撮影日記（1997年）
• - 旅用自転車 ランドナー読本（2010年）

平野勝之の作品は、映像表現に対する独自の視点と、私的な経験に基づいた内容が特徴であり、多くの観客に新たな視点を提供し続けています。彼の独創的なスタイルと思考は、今後も映画界に新たな影響を与え続けることでしょう。

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