平野拓也 (科学技術官僚)

平野拓也（ひらの たくや）氏は、1935年1月8日に大阪府大阪市に生まれた日本の元官僚です。

官僚としての歩み

平野氏の官僚としてのキャリアは、国家公務員採用中級試験（行政）に合格したことから始まります。大阪外国語大学（現在の大阪大学外国語学部）の中国語学科で学び卒業後、1959年に大蔵省に入省しました。同年、さらに国家公務員採用上級試験（行政）にも合格し、その後、活躍の場を科学技術庁へと移しました。科学技術庁では事務系官僚として、日本の科学技術行政の中枢に関わることになります。

科学技術庁では、要職を歴任しました。具体的には、航空宇宙技術研究所の管理部長として組織運営に携わり、原子力局長として日本の原子力政策に関わる重要な役割を担いました。さらに官房長、科学審議官といった幹部ポストを歴任し、行政手腕を発揮しました。そのキャリアの頂点は、1992年に科学技術事務次官に就任したことです。これは、科学技術庁の事務系官僚としては初めての事務次官就任であり、その経歴における特筆すべき出来事でした。事務次官として、日本の科学技術政策の企画・立案・推進においてリーダーシップを発揮しました。1994年に定年により官僚生活を終えました。

退官後の活動と政治への挑戦

官僚を退いた後も、平野氏は社会に貢献しました。定年退官後の1994年、海洋技術センターの理事長に就任し、海洋科学技術の研究開発や振興に尽力しました。

また、1995年には政治の世界に挑戦します。大阪府知事選挙に無所属で立候補することを表明しました。この選挙では、自由民主党や日本社会党など、日本共産党以外の主要政党から広範な支援を受けました。しかし、結果としては、タレントとして知名度の高かった無党派の横山ノック氏に敗れ、当選には至りませんでした。

人物像

平野拓也氏は、硬質な行政キャリアの一方で、多角的な関心を持っていたことが伺えます。趣味としては、日本の伝統芸能である歌舞伎の鑑賞を挙げられています。また、尊敬する人物として、日本の高度経済成長を象徴する偉業である新幹線の開発を主導した島秀雄氏、そして日本の宇宙科学、特にX線天文学の黎明期を切り開き「日本の宇宙科学の父」とも称される小田稔氏の名前を挙げています。これらの尊敬する人物からは、革新的な技術開発や未知の分野の探求に対する氏の敬意と関心が見て取れます。

平野拓也氏の経歴は、大蔵省での経験を活かしつつ、科学技術庁という専門性の高い分野で事務方としてキャリアを確立し、事務系初の事務次官にまで上り詰めた点で特徴的です。退官後の活動や知事選への挑戦も含め、多岐にわたる経験を積んだ人物と言えます。

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