平野雅章

平野雅章：食文化研究の先駆者

平野雅章（ひらの まさあき）は、1931年1月15日に生まれ、2008年11月22日に没した日本の食物史家です。本名を平野武（たけし）といい、雅章はペンネームでした。彼は儀礼文化学会の専門委員も務め、日本の食文化研究に深く貢献しました。

生涯

千葉県富津市で生まれた平野雅章は、早稲田大学第二文学部心理学専修を卒業しました。大学在学中から芸術家である北大路魯山人に師事し、海外旅行にも同行するなど、その薫陶を受けました。魯山人の遺した美術や料理に関する著作の編纂は、平野のライフワークの一つとなりました。

大学卒業後は主婦の友社編集局に勤務し、その後は日本食物文化史の研究に専念し、文筆活動を続けました。彼の研究は、日本の食文化の歴史や背景を深く掘り下げたもので、多くの著書を通じてその成果を発表しました。

平野雅章は、フジテレビ系列の人気番組『料理の鉄人』に審査員としてレギュラー出演し、その博識ぶりと的確なコメントで視聴者からの人気を集めました。「かの魯山人の愛弟子」として紹介され、番組に華を添えました。また、料理記者の岸朝子も主婦の友社時代の同僚であり、共に審査員として番組を盛り上げました。

2005年11月23日放送の「トリビアの泉」では、「料理の専門家が最も美味しいと認める冷や飯に合うカップラーメンの残り汁は？」というトリビアの検証審査員を務めました。料理評論家の見田盛夫、料理研究家の江上栄子、レストラン「パッション」オーナーシェフのアンドレ・パッションと共に、真剣な面持ちで審査に臨みました。

2008年11月、平野雅章は心筋梗塞のため77歳で逝去しました。葬儀は近親者のみで執り行われ、没後1年を経てその事実が公表されました。

業績

平野雅章は、数多くの著書を通じて日本の食文化の魅力を伝えました。

『食物ことわざ事典』
『たべもの歳時記』
『味ごよみ』
『やさい風土記』
『美味散策』
『美味真髄』
『食の文化考』
『食べものの四季』
『にっぽん食物誌』
『たべもの語源考』
『熱いが御馳走 食物ことわざ事典2』
『日本の食文化』
『江戸美味い物帖』
『魯山人味ごよみ 味覚の洗練美味の真髄』
『魯山人料理の極意』
『魯山人料理控 作るこころ、食べるこころ』
『食のことわざ歳時記 伝承の食生活の知恵120』
『平野雅章の汁物ばんざい! ニッポン汁物博物誌。』
『旬の味手控帖』
『魯山人美味の真髄 魯山人が究めた食の心とかたち』
『和食の履歴書 食材をめぐる十五の物語』
『魯山人雅美礼讃』
『江戸・食の履歴書』
『魯山人もてなしの真髄 もてなしの心もてなしの形』
『魯山人御馳走帖』

これらの著書は、日本の食文化の歴史、食材の知識、料理の技法、食に関するエッセイなど、多岐にわたるテーマを扱っており、彼の博識さと食文化への深い愛情がうかがえます。

また、北大路魯山人の著作の編纂にも力を注ぎ、魯山人の思想や美意識を広く世に伝えました。

『魯山人味道』
『魯山人陶説』
『魯山人書論』
『魯山人著作集』
『魯山人「道楽」の極意』
『魯山人魂を刳る美』
『魯山人の美食手帖』

これらの編纂を通じて、魯山人の芸術家としての側面だけでなく、食に対する深い造詣や哲学を明らかにしました。

人物

平野雅章は、日本の食文化研究に情熱を注ぎ、その成果を多くの著書やメディアを通じて発信しました。彼の研究は、日本の食文化の理解を深める上で貴重なものであり、後世に大きな影響を与えました。また、北大路魯山人の思想や美意識を世に広めた功績も大きく、日本の食文化史における重要な人物として記憶されています。

師である北大路魯山人をはじめ、岸朝子など食文化に貢献した人物との交流も深く、日本の食文化の発展に大きく寄与しました。

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