年寄株問題

年寄株問題とは

年寄株問題とは、日本相撲協会における年寄名跡の売買や譲渡に関連する権利関係の課題のことを指します。この問題は1998年、協会の役員人事が大きな騒動を巻き起こした際に注目されました。

経緯

相撲界はその起源を興業相撲に持ち、年寄衆は元力士のような団体から形成されてきました。そのため、年寄名跡の売買は基本的に所有者と襲名希望者との間の交渉によって成立しています。相撲界では、長年にわたり疑似的な大家族制が続いており、名跡は主に養子縁組の形で相続されることが一般的でした。

初期の頃、襲名した年寄は、前任者の生活を引退後も支援する慣行がありました。しかし、後に「一時金」を支払って名跡を譲受する方法が普及し、さらに名跡を所有する現役力士や元年寄から襲名権を借りる「借株」という現象も生まれました。そのため、名跡の所有者と襲名者が異なる状況が見られるようになったのです。

過去には、年寄名跡の数が多かったため、名跡が余り気味でありましたが、力士の寿命が延び、早期に廃業する親方も減少した結果、名跡の入手が難しくなり、相場が高騰するようになりました。1990年代前半、若・貴ブームの影響でも名跡の価格が爆発的に上昇したと伝えられています。

問題の発覚と騒動

1996年、若乃花と貴ノ花の名跡譲渡に関連する贈与金の申告漏れが発覚し、これがきっかけで年寄名跡の高額売買の実態が明らかになりました。1998年には、名跡の権利を巡る訴訟が起き、2億5000万円が支払われた事例も踏まえて、年寄名跡の財産的価値が裁判所ではじめて認定されました。

年寄名跡制度の改革

1996年、年寄名跡の改革案が提出されましたが、年寄の反対に遭い、1998年の役員選挙では投票が行われ初の大騒動になりました。その背景には、「年寄名跡改革問題」や「相撲茶屋問題」があったのです。

時津風理事長は年寄名跡の所有者と使用者の情報公開を決議し、市場の透明性を図った改革案を推進しました。1998年に新制度が施行され、年寄名跡の譲渡に関する条件が明確化されました。これにより、年寄名跡の貸し借りが禁止され、今後の襲名条件も厳格化されました。

名跡の価値変動

2010年代に入ると、公益法人制度への移行や、団塊世代の大量退職が影響し、年寄名跡の価値が下落する現象が見られました。また、相撲協会が年寄名跡を管理することによって、名跡の商業的側面が薄れ、一部名跡の空きが出る事態にまで発展してしまいました。

結論

年寄株問題は、日本相撲協会の内部での権利関係や名跡に対する取り扱いをめぐって、さまざまな改革や騒動を生じさせてきました。現在も制度の見直しや改革は続いており、相撲界の健全な発展には、この問題の解決が欠かせません。

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