年明けうどん

年明けうどんとは

年明けうどんとは、香川県発祥の新しい食文化で、さぬきうどん振興協議会が提唱する「年明けに縁起を担いで食べるうどん」のことです。これは、単なるうどんの消費拡大だけでなく、地域経済の活性化や食文化の創造を目指す取り組みでもあります。年明けうどんは、日本の伝統的な食文化である年越し蕎麦や雑煮とは異なり、新しい国民的な麺食行事としての定着を目指しています。

背景

2000年代に入り、日本では麺類の消費量が減少傾向にありました。この状況に危機感を抱いた讃岐うどん業界は、新たな麺食習慣を創出し、うどんの消費を活性化させるため、年明けうどんを提唱しました。香川県では、正月にはあんもち雑煮を食べる習慣があるものの、うどんを食べる習慣は特にありませんでした。そこで、2008年7月からさぬきうどん振興協議会が中心となり、普及活動が開始されました。

広がり

当初は讃岐うどんが中心でしたが、水沢うどんなど他の地域の名物うどんも参加するようになり、年明けうどんの動きは全国に広がっています。大手コンビニエンスストアやスーパーマーケット、カップ麺などでも年明けうどん関連の商品が販売されるようになり、その認知度と定着度が高まっています。

効果

年明けうどんの普及活動の効果について、製麺業者などを対象にした調査では、2009年には約半数が「効果があった」と回答し、2010年には「大きく上回った」「上回った」との回答が46%に達しました。しかし、インターネット調査では、「食べようと思わない」という否定的な意見も多く、賛否両論がある状況です。

商標登録

「年明けうどん」という名称は商標登録されており、使用には申請が必要です。商標権は香川県の地元麺業界3団体が保有しており、製造・販売事業者は無料で利用できます。2016年には、商標利用を申請した業者は733社に達し、普及活動開始当初の2.5倍に増加しています。

定義

さぬきうどん振興協議会が定義する年明けうどんは、以下の通りです。

期間: 元旦から1月15日まで
形式: 純白のうどんに、新春を祝う「紅」（梅干し、金時人参の天ぷら、赤いかまぼこなど）を添える

歴史

2008年:
7月14日: さぬきうどん振興協議会が発足し、年明けうどんの普及活動を発表。
10月2日: 年明けうどんの基本的な定義とロゴマークを発表。
2009年:
正月: 香川県内の寺院や公園で年明けうどんが振舞われ、約50店舗が提供を開始。
6月3日: 全国製麺協同組合連合会で全国展開が決定し、年明けうどん普及推進委員会が設立。
7月10日: 年明けうどんが商標登録。
2010年:
正月: 大手コンビニエンスストアやスーパーマーケット、カップ麺が参入し、約300業者が名称を使用。香川県内では約100店舗以上が提供。
4月16日: さぬきうどん振興協議会が「2010年度かがわ21世紀大賞」を受賞。
2011年:
正月: 香川県内の寺院や公園で年明けうどんが振舞われる。
11月11日: 年明けうどんレシピコンテストの最終審査が香川県で行われ、受賞作品は公式サイトで紹介。
2012年〜2014年:
正月: 香川県内の寺院や公園で年明けうどんが振舞われる。
2014年12月: 全国年明けうどん大会が香川県で開催され、全国各地から多数の来場者を集めた。
2015年:
正月: 香川県内の寺院で1,000食の年明けうどんが振舞われる。
12月: 香川県が年明けうどん提供店舗を検索できるサイトを開設。
12月: 全国年明けうどん大会が開催され、40,200人が来場。また、うどんかるたコンテストを実施し、選ばれた句をもとに「うどんかるた」を制作。
2016年:
正月: 香川県内の寺院で2,016食の年明けうどんが振舞われる。
12月: 全国年明けうどん大会が開催され、41,800人が来場。
2017年:
* 正月: 香川県内の寺院で1,250玉の年明けうどんが振舞われる。その模様は「ゆく年くる年」で全国に中継。

類似の風習

中国では、春節（旧正月）に長寿麺を食べる風習があります。これは、年明けうどんとは異なる文化ですが、麺を食べることで縁起を担ぐという共通点があります。

まとめ

年明けうどんは、香川県発祥の新しい食文化であり、地域経済の活性化や食文化の創造を目指す取り組みです。その普及活動は全国に広がりつつありますが、その一方で、伝統的な食文化との対比や、単なるイベントとしての消費に終わる可能性など、課題も抱えています。今後、年明けうどんがどのように発展していくのか、注目されます。

年明けうどん公式サイト
全国年明けうどん大会公式サイト

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