幻想と怪奇

概要

『幻想と怪奇 ROMAN FANTASTIQUE』は1973年4月に創刊された日本の怪奇小説および幻想文学専門誌です。この雑誌は1974年10月までの間に計12号が発行され、その間に多くの魅力的な作品やエッセイが掲載されました。編集には紀田順一郎と荒俣宏が深く関わり、早川佳克が担当編集者として参加しました。ただし、創刊号のみは三崎書房から出版されています。

発行の詳細

季刊の初期発行から、後に月刊へと変わり、各号には特定のテーマが設けられていました。内容は訳された外国作品や日本の作家の新作、エッセイ、コラムなど多岐にわたります。特集としては、魔女や吸血鬼、黒魔術、クトゥルー神話に関連するテーマが扱われ、幅広いジャンルをカバーしています。

掲載作品

初号の4月号では「魔女特集」が組まれ、M・R・ジェイムズやH・P・ラブクラフトといった著名な作家の作品が翻訳され、紹介されました。特に印象的なのは、アーサー・マッケンやブラム・ストーカーの作品で、これにより読者は国境を越えた幻想文学の魅力に触れることができました。

二号には吸血鬼がテーマとなり、アレクセイ・トルストイやH・R・ウェイクフィールドなどの作品が掲載され、三号では黒魔術が特集されました。これらの号では、霊的なテーマに基づく作品が多く、読者を引き込む内容となっています。

特集の内容

四号ではクトゥルー神話を紹介し、ラヴクラフトやその仲間たちによる作品が特集されました。この号では、宇宙的恐怖と神話的要素が組み合わさり、独特な幻想の世界が展開されます。

他にも、特集号ではメルヘン的な要素を取り入れた作品、現代幻想小説、幽霊屋敷に関する特集が組まれ、様々な視点からの幻想文学が魅せられました。

エッセイとコラム

各号には、著名な批評家や研究者によるエッセイも含まれており、怪奇小説の社会的背景や文学的意義について考察されました。特に紀田順一郎や荒俣宏の文章は、作品解説だけでなく、読者へ新たな視点を提供し続けました。

コラム「地下なる我々の神々」は、特に幻想文学の深い理解を促し、読者と文筆家との距離を縮める役割を果たしました。読者が新たな発見をし、続く号への期待を高める一因となりました。

影響と継承

『幻想と怪奇』は、単に当時の文学の記録ではなく、その後の日本の怪奇文学に多大な影響を与えました。また、同誌の影響を受けた作家たちの作品が後に刊行され、これが日本の怪奇文学の発展に寄与したことは間違いありません。

この誌の終了後も、同誌から生まれた多くの関連書籍や新たな雑誌が登場しており、現在でもその影響は強く残っています。また、やがて新たな潮流を作るために続けられた文学探求は、今日の怪奇幻想小説の景観に新たな光をもたらしています。

総括

『幻想と怪奇 ROMAN FANTASTIQUE』は、日本において怪奇文学と幻想文学を探求するための貴重なプラットフォームでした。その内容と影響力は、今日においても語り継がれ、多くの読者に夢や幻想への扉を開きました。

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