『
幻魔大戦 Rebirth』は、
平井和正と
石ノ森章太郎による
幻魔大戦シリーズを原作とした漫画作品です。脚本は
七月鏡一、作画は
早瀬マサト・
石森プロが担当し、『
クラブサンデー』から『サンデーうぇぶり』へと掲載誌を移しながら、2014年から2019年まで連載されました。
概要
本作は、少年マガジン版の最終話後の世界を舞台としており、続編としての側面を持っています。しかし、単なる続編ではなく、ステラとベガが過去へ遡り、運命を変えようとするなど、リメイクとしての要素も含まれています。過去の悲劇を繰り返さないために行動する姿は、旧作ファンにとっても新鮮な驚きをもたらします。
シリーズ全体を内包する壮大な物語を目指している点も特徴です。東丈とベガの関係性を掘り下げる中で、『新
幻魔大戦』や『真
幻魔大戦』といった過去作品における丈の過去世が登場します。さらに、『
幻魔大戦 神話前夜の章』の主人公ルーフとジンが登場し、現代の超能力者たちに協力するなど、少年マガジン版以外のシリーズ作品からの要素も積極的に取り入れています。
石ノ森章太郎の他の漫画作品や、
平井和正の小説に登場するキャラクターも多数登場し、
クロスオーバー作品としての魅力も備えています。各話の構成に散りばめられた様々な作品からの引用は、ファンにとっては嬉しいサプライズと言えるでしょう。
各話の構成
グランド・プロローグ: 少年マガジン版での戦いをベガの回想としてダイジェストで描き、物語の導入としています。ベガが地球に来る前の戦いの描写には、小説『真幻魔大戦』のシーンも取り入れられています。ルナの娘であるステラが登場し、破損したベガを修復して新たな戦いへと導きます。ここでは、イワン・ウィスキー、ミュータント・サブ、猿飛エツ子といったお馴染みのキャラクターも登場します。
東丈: 少年マガジン版と同様の状況で、ベガ(に化けた幻魔)が東丈を追い詰めます。本物のベガとステラが現れ、東丈が覚醒するまでが描かれます。ここでは、『ジュン』の主人公ジュンが丈の同級生として登場し、
パラレルワールドについて語り、久保陽子と丈を引き合わせる役割を果たします。
ソニー・リンクス: ステラが眠りについた頃、ニューヨークでは幻魔が人々の悪夢を買い集め、現実世界に呼び起こそうとします。ソニー・リンクス(サンボ)とジョージ・ドナーが登場し、物語が展開されます。また、『仮面ライダーBlack』のシーサー怪人が、軍人に扮した幻魔として登場します。
ニューヨーク黙示録: 正体を現した幻魔ザメディとの戦いが描かれます。少年マガジン版などのオマージュが散りばめられており、『サイボーグ009』のイワン・ウイスキー(001)が重要な役割を果たします。
時空の管理人: クェーサーとベアトリスの釵が登場し、物語に深みを与えます。イワンの過去の回想シーンでは、『サイボーグ009』の「誕生編」プロローグがなぞられ、その周辺人物も登場します。
嵐の中の邂逅: 漫画『
幻魔大戦』(リュウ版)のルーフとジンが登場し、物語に新たな展開をもたらします。
東京戦線: 三千子を巡り、各国の情報機関、超能力者、“神話同盟”が争奪戦を繰り広げ、幻魔が暗躍します。犬神一族の月影が登場する他、『ミュータント・サブ』の風田三郎が登場し、イナズマンに変身するシーンも描かれます。
見知らぬ世界: 丈は三千子の存在しない世界へと飛ばされ、東卓、クロノス、タイガーマンといったキャラクターが登場します。ここでは、『イナズマン』の桜山高校のメンバーや女性教師が登場します。
幻魔領域: 『真幻魔大戦』で描かれた幻魔世界が登場し、獣人たちが現れます。また、リュウ版のマ王が登場します。
幻魔経済入門: サブタイトルは『
マンガ日本経済入門』のパロディであり、『サイボーグ009』の張々湖(006)がラーメン屋台の店主として登場します。
悪霊の王女: 平井の小説『悪霊の女王』のアニマが登場し、物語に深みを与えます。
虎の檻: 『新
幻魔大戦』での香川千波とベアトリス王女の出会いが回想として描かれます。
黒き竜: 幻魔ガモンが巨大な“黒き竜”となって登場し、丈を助けます。
ハルマゲドン: 物語はクライマックスを迎え、丈は幻魔との最終決戦に挑みます。
終章 約束の扉: 丈は幻魔の始まりの地へと向かい、新たな平行宇宙でルナと出会います。
登場人物
東丈: 本作および
幻魔大戦シリーズの主人公。ステラがいた世界では高校生でしたが、本作では半世紀後も高校生として登場します。
ステラ: ルナと東丈の娘。サイキックエネルギーで姿を変えており、実際は幼い子供です。
用語
神話同盟: 奥多摩山中の城を拠点とする集団。ラミルカとダミアンを頂点としています。
本作は、過去の
幻魔大戦シリーズの要素を巧みに取り入れながら、新たなストーリーとキャラクターを織り交ぜた意欲作です。
石ノ森章太郎作品、
平井和正作品のファンはもちろん、初めて
幻魔大戦に触れる読者にとっても楽しめる作品となっています。