幼生

幼生の概念

幼生（ようせい、英: larva）は、後生動物の発生過程における特定の成長段階を指します。これは、胚から成体に至るまでの過程において、形態や生活様式が著しく異なる状態を示します。昆虫における幼虫はこの幼生に該当し、特に完全変態を行う種に見られます。一般的に卵生で変態を行う動物では、孵化から変態までの時期を幼生として理解できます。

英語での表現は「larva」で、複数形は「larvae」です。動物の分類によって異なる呼び名が付与されることがありますが、幼生の形態が成体とどの程度異なるかについての統一された定義を定めることは難しいとされています。

幼体と亜成体

幼生という用語は、幼体（juvenile）や亜成体（subadult）としばしば混同されますが、これらはそれぞれ異なる段階を示します。幼体は、変態を経た後の段階や、変態しない動物では孵化後の状態を指します。一方、亜成体は、成体とほぼ同じ形態でありながら、生殖能力が未成熟な段階を示します。

変態しない幼生

魚類や頭足類の仔も幼生と呼ばれることがありますが、これらは形態的変化を伴わずに成長します。そのため、一部の専門家は、変態を経たものだけを幼生と見なす場合があります。しかし、こうした動物も成長段階や生態的性質において幼生的特性を持つことから、幼生としての呼称が一般的に認められています。1988年以降、頭足類の仔は「paralarva」と呼ばれることが増えており、これは「仔稚」と訳されることがあります。

孵化前の状態

通常、幼生は卵から孵化した後の個体であり、独立して栄養を摂取し成長し、親になる過程を経る段階です。卵の中にいる段階は胚と呼ばれますが、一部の動物群では、孵化のタイミングが異なる場合があります。また、親の体内で発育する場合は胎児と称されることもあります。例えば、甲殻類の初期幼生は「ノープリウス」と名付けられ、卵の内で発達することもあります。

幼生の繁殖

成熟した個体と幼生の大きな違いは繁殖力の有無です。一般には、生殖能力の獲得が成熟の指標とされますが、実際には幼生の段階でも繁殖を行う事例も存在します。これらの繁殖形態は通常、無性生殖に近いものであることが多いです。

系統との関係

幼生の形態が近縁の動物群間で共通であることは、進化の過程で多くを共有してきた証と見なされることが多いです。甲殻類の幼生における「ノープリウス」などは、全体の進化史を考える上で重要な要素となります。顕著な形態的共通点がある幼生は、時に異なる分類群の類縁関係を示す手がかりにもなります。

個別の呼称

幼生の名前は分類群に応じて多様であり、特有の呼称が存在します。海産無脊椎動物の場合、幼生はプランクトンとしての生活を送り、それぞれの幼生に固有の名前が与えられることがあります。例えば、ホウキムシの幼生は「アクチノトロカ」、イセエビの幼生は「フィロソーマ」と名付けられています。また、英語由来のラテン語で名付けられた幼生が多数あり、日本ではカタカナを用いて表記されることが一般的です。

結論

幼生という概念は多様な動物のライフサイクルにおける重要な段階を示し、その形態や生態的役割は進化や系統の理解に役立つ情報を提供します。それぞれの分類群に固有の呼称や特徴を持つことから、多くの研究が行われています。

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