幾春別川

幾春別川（いくしゅんべつがわ）について

幾春別川は、北海道三笠市および岩見沢市を流れる、石狩川水系の重要な一次支流です。その源流は夕張山地にあり、豊かな自然環境を育んでいます。

流路

川は夕張山地から北西へと流れ、その後西に方向を変え、岩見沢市と新篠津村の境界付近で石狩川の左岸に合流します。かつては幌向川に合流してから石狩川へと流れていましたが、幾春別放水路の完成により、直接石狩川へと注ぎ込むようになりました。この放水路の建設は、治水対策において大きな役割を果たしています。

上流部には、北海道で最初に建設された多目的ダムである桂沢ダム（1957年完成）があります。現在、桂沢ダムの嵩上げ（新桂沢ダム）と、支流の奔別川にダムを新設（三笠ぽんべつダム）する幾春別川総合開発事業が進行中です。これらの事業は、治水機能の強化と水資源の有効活用を目的としています。

川名の由来

川の名前は、アイヌ語の「イクスンペッ（i-kus-un-pet）」に由来します。これは「それの・向こう側・にある・川」という意味です。かつてポロモイ（幌向）に住んでいたアイヌの人々が、「あっちの方の川」という意味で幾春別川を呼んでいたことが、この名前の由来と考えられています。地名には、その土地の歴史や文化が色濃く反映されており、川の名前もまた、その一つと言えるでしょう。

災害の歴史

1932年（昭和7年）9月10日には、長雨による記録的な増水が発生し、堤防が9箇所で決壊するという甚大な被害が発生しました。この洪水により、岩見沢市の市街地の約7割が浸水し、多くの人々が苦難を強いられました。この災害を教訓に、治水対策の重要性が再認識され、その後の河川改修やダム建設につながっていきました。

幾春別川は、豊かな自然を育み、人々の生活を支える一方で、時には災害をもたらすという、河川の二面性を示しています。流域の人々は、この川と共存しながら、その恵みを受け、災害に備えながら生活を営んでいます。近年の気候変動の影響により、水害のリスクはますます高まっており、今後の治水対策の重要性はますます増していくと考えられます。

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