広島県道285号宮ノ口瀬戸線

広島県道285号宮ノ口瀬戸線

広島県道285号宮ノ口瀬戸線は、広島県呉市に所在する一般県道です。この路線は、広島県内で最も南に位置する県道路線として知られており、その全区間が呉市の南端に浮かぶ鹿島の島内に収まっています。鹿島における重要な交通路として、島内の移動や生活を支える役割を担っています。

路線データと特徴

本路線の起点は、鹿島にある宮ノ口漁港です。そこから島内を東に進み、終点である瀬戸漁港および鹿島大橋のたもとに至ります。路線の全長は3.393キロメートルと短く、全てが鹿島島内を通過します。

地理的な特徴として、特に鹿島北部の区間に道幅が狭い場所が多く存在します。道路の幅員が十分に確保されていないため、通行する車両の種類によっては注意が必要です。特に終点に近い区間では、道路の幅が2.1メートルほどしかなく、非常に狭くなっています。この狭隘区間を回避するための迂回路として、呉市道鯛之浦瀬戸線が利用可能です。

また、本路線は他の一般県道と一切接続しないという珍しい特性を持っています。これは、路線が鹿島という離島内に完結しているためです。終点付近にある鹿島大橋は、島外（倉橋島を経由して本土）とを結ぶ唯一の陸上ルートですが、この橋およびその取り付け道路は、過去に農道として建設された経緯から県道ではなく呉市道鹿老渡鹿島線として管理されています。したがって、鹿島大橋を渡っても、県道285号が他の県道ネットワークに直接連結することはありません。

路線の歴史

広島県道285号宮ノ口瀬戸線は、1968年（昭和43年）7月23日付の広島県告示第603号によって県道路線として初めて認定されました。その後の1972年（昭和47年）11月1日には、現在の県道番号である285号が付与されています。

路線の終点近くに架かる鹿島大橋は、1975年（昭和50年）に開通しました。この橋の完成によって、鹿島は倉橋島を介して本土と陸続きとなり、島へのアクセスや物流が飛躍的に向上しました。

当初、この路線は安芸郡倉橋町に属していましたが、2005年（平成17年）3月20日に倉橋町が周辺自治体と共に呉市へ編入合併されたことに伴い、路線の全区間が現在の呉市を通る形となりました。

沿線の主な施設

路線沿いには、路線の起終点である宮ノ口漁港と瀬戸漁港があります。また、島内の生活を支える施設のひとつとして鹿島郵便局が沿線に位置しています。そして、終点付近には島外との玄関口である鹿島大橋が見られます。

広島県最南端という地理的な位置づけ、島内の狭隘な区間、そして他の県道から孤立したユニークな性質を持つ広島県道285号宮ノ口瀬戸線は、鹿島という小さな島の生活に密着した特徴的な路線と言えるでしょう。

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