広島県道292号川角佐伯線

広島県道292号川角佐伯線は、その名の通り広島県内に位置する一般県道です。地元では「かわすみさいきせん」という名称で親しまれています。この路線は、広島市佐伯区の湯来町から出発し、廿日市市の玖島地区へと至る約10キロメートル程度の道のりです。広域的には、広島市西部と廿日市市北部を結ぶ役割を担っています。

この県道の起点は、広島市佐伯区湯来町に属する伏谷（ふしだに）という地域に設定されています。具体的には、当地にある新川角橋の北詰交差点で、ここでは主要な幹線道路である国道433号と直接接続しており、両方向からのアクセスが可能です。一方、路線の終点は、隣接する廿日市市にあります。終点となるのは玖島（くじま）地区の楢原交差点で、この交差点では広島県道42号大竹湯来線と交差しています。また、終点付近は広島県道294号虫道廿日市線とも重複しており、実質的に県道294号上にある形で本路線が終了します。このように、川角佐伯線は複数の主要な県道と接続し、地域の交通ネットワークの一部を形成しています。

路線が通過する自治体は、起点が位置する広島市（佐伯区）と、終点が位置する廿日市市の二つの市にまたがっています。佐伯区側は主に湯来町の山間部にあたり、廿日市市側も玖島地区など比較的自然豊かな地域を通過します。そのため、路線の多くは山間部の地形に沿っており、景観は自然が多くを占めています。

県道292号の道路状況については、概ね良好な状態が保たれていると言えます。しかし、この路線が特に重要視される理由の一つに、冬季における迂回路としての機能があります。接続する広島県道42号大竹湯来線は、毎年冬期、具体的には12月15日から翌年の3月15日までのおよそ3ヶ月間、積雪や凍結のため通行止めとなる区間が存在します。この閉鎖期間中、大竹方面や湯来方面へ向かう車両にとって、広島県道292号川角佐伯線は、山間部を迂回するための数少ない代替ルートとして極めて重要な役割を果たします。県道42号が利用できない期間は、本路線の交通量が増加する傾向にあります。

また、この路線には一部で他の県道との重複区間が存在します。前述した通り、終点である廿日市市玖島の楢原交差点付近では、広島県道294号虫道廿日市線と同じ経路をたどります。これにより、実質的に県道292号の終点は県道294号と接続・合流する形になっています。

沿線には、地域住民の生活や教育に関わる施設がいくつか点在しています。例えば、広島市立砂谷中学校や広島市立湯来南小学校といった教育機関があり、地域の子どもたちの通学路としても利用されています。また、レクリエーション施設としては芸南カントリークラブがあり、ゴルフを楽しむ人々がこの県道を利用して訪れます。さらに、地域の郵便業務を担う玖島郵便局も沿線に位置しており、地域の拠点の一つとなっています。

道路施設としては、広島市佐伯区内で八幡川を渡河する縣辻橋（あがたじばし）が挙げられます。このような橋梁も、路線の安全な通行を支える重要な構造物です。

広島県道292号川角佐伯線は、このように地域の交通網を形成する一端を担い、特に冬季の代替路として重要な機能を果たしています。関連する情報として、広島県内の他の県道について知りたい場合は、「広島県の県道一覧」を参照すると良いでしょう。

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