広島県道296号吉和戸河内線

広島県道296号吉和戸河内線は、広島県の西部に位置し、廿日市市吉和を起点とし、山県郡安芸太田町大字遊谷を終点とする一般県道です。

この路線は、廿日市市吉和地域と安芸太田町の遊谷地区を結んでおり、総延長は約21.5キロメートルに及びます。県西部の山間部を縦断するルートを取ります。

路線の歴史を振り返ると、この県道が最初に認定されたのは1960年（昭和35年）のことでした。当時は現在の名称とは異なり、広島県道市垣内戸河内線として指定されていました。その後、経路の変更などが経て、1980年（昭和55年）に現在の広島県道吉和戸河内線という名称に変更され、現在に至っています。

この県道の利用にあたっては、いくつかの注意点があります。まず、道路の幅員や線形などの関係から、大型車両の通行は難しい区間が存在します。また、山間部を通過するため、気候条件に左右されやすい特性を持っています。

特に、廿日市市吉和の駄荷地区から山県郡安芸太田町吉和郷にかけての約18.3キロメートルの区間は、異常気象時に通行が規制される「異常気象時通行規制区間」に指定されています。大雨や積雪など、気象状況によっては通行止めとなる可能性があります。

さらに、冬季は積雪のため通行が不可能となる区間が存在します。廿日市市吉和字駄荷から山県郡安芸太田町打梨までの約6.7キロメートルは、毎年12月15日から翌年の3月15日まで「冬期閉鎖区間」となり、車両の通行が禁止されます。

これらのことからわかるように、道路事情は必ずしも良好とは言えず、特に悪天候時や冬季は通行が困難となることが多いため、この路線を通過する際には事前の情報確認が不可欠です。沿線に目的地がない場合や、確実に移動したい場合は、起点・終点付近で交差する国道186号と国道191号を迂回ルートとして利用することが、より安全で確実な選択肢となります。

本路線が通過する自治体は、廿日市市と山県郡安芸太田町です。主要な交差点としては、起点の廿日市市吉和で国道186号と、終点の山県郡安芸太田町大字遊谷にある戸河内バイパス西口交差点で国道191号とそれぞれ接続しています。

沿線には、地域の教育機関である廿日市市立吉和小学校や廿日市市立吉和中学校、行政の窓口である廿日市市役所吉和支所などがあります。また、自然やレジャーに関連する施設や景勝地も点在しており、女鹿平温泉やめがひらスキー場、宿泊・研修施設であるクヴェーレ吉和などがアクセス可能です。さらに、美しい自然景観として知られる立岩ダムやそれに伴う立岩貯水池、ウッドワン美術館、そして瀬戸の滝、二ノ原滝、白井谷の滝といった滝群も沿線やその近隣に位置しています。この地域には、地質学的に興味深い押ヶ垰断層帯も存在しています。

これらの沿線施設や自然景観へのアクセス路として利用されることもありますが、前述のような道路状況のため、通行にあたっては十分に注意が必要です。広島県内の主要地方道やその他の県道については、広島県の県道一覧などを参照してください。

もう一度検索