広島県道365号戸崎下組線

広島県道365号戸崎下組線は、広島県尾道市に位置する一般県道です。この道路は尾道市浦崎町の中心部を縦断しており、特に本土（本州）とは幅わずか数メートルの水路で隔てられ、事実上島のような地形となっている「戸崎地区」にとって、地域住民や訪問者の生活を支える重要な幹線道路としての役割を担っています。

路線の起点は戸崎地区の最西端に位置する戸崎港です。この港からは、瀬戸内海を挟んで対岸にある向島東岸の歌港（尾道市向東町）へと渡るフェリーボートが定期的に運航されています。この航路は、特にサイクリストにとって選択肢の一つとして知られています。有名な「瀬戸内しまなみ海道」を自転車で走行する際、尾道市街地と向島を結ぶ尾道大橋は歩道が狭く、隣接する新尾道大橋には歩道がないため、安全な代替ルートとして、戸崎港から歌港へのフェリー利用を推奨する看板が一部に設置されています。しかし、現状としてはこのフェリー航路がしまなみ海道サイクリングの主要ルートとして積極的に利用されているかというと、それほど多くはないようです。

本県道は、戸崎地区においては主にその北岸部を縫うように走っています。戸崎地区は上述の通り、本土と水路で隔てられているため、自動車でアクセスするためには、この県道365号線が唯一の信頼できる経路となっています。島内にはこの県道以外にも、南岸部に沿って延びる尾道市道が存在します。この市道も大部分は車両の通行が可能で、島内をほぼ一周できるかのように見えます。しかし、島の東端部に近づくと、終点まであと数百メートルという地点で突如として自動車の通行が困難になる区間が現れます。したがって、車両での島内一周は現状では不可能であり、戸崎港など地区内の主要拠点へ自動車で確実に到達するためには、この県道365号線を利用する以外に実質的な選択肢はありません。ところが、戸崎地区東端部の分岐点には、このような南岸市道の通行制限に関する注意を促す看板や標識が設置されていないため、初めて訪れるドライバーは注意が必要です。

この路線の総延長は5.0キロメートルです。起点は尾道市浦崎町の戸崎港、終点は同じく尾道市浦崎町内で、広島県道389号草深古市松永線に接続する地点となっています。

広島県道365号戸崎下組線は、比較的新しい県道の一つとして位置づけられます。この路線は1972年（昭和47年）11月24日に、広島県告示第983号によって正式に認定されました。認定以前は尾道市の市道として地域に利用されていましたが、県道への昇格を果たしました。これは、現行の県道番号体制が確立されてから初めて認定された路線の一つであり、その意味でも歴史的な位置づけを持っています。

路線上には、重要な道路施設として「満越橋（みちこえばし）」が架かっています。この橋も尾道市内に所在しており、路線の円滑な交通を支えています。

本県道が通過する自治体は尾道市のみです。終点においては、広島県道389号草深古市松永線と交差しています。沿線には、路線の起点でもある戸崎港や、地域の行政サービス拠点である尾道市役所浦崎支所などがあります。

日本の他の都道府県と同様に、広島県にも多数の県道が存在しており、その一覧は「広島県の県道一覧」としてまとめられています。広島県道365号線も、このリストに含まれる地域交通を支える重要な路線のひとつです。

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