広島県道429号若屋秋町線

広島県三次市に位置する一般県道の一つが、広島県道429号若屋秋町線です。この県道は、三次市粟屋町にある若屋地区を起点とし、市の中心部にも近い秋町地区に至る比較的短い路線です。三次市内の地域を結び、特に一級河川である江の川（この付近では特に可愛川とも呼ばれます）の左岸に沿って進む経路が特徴的です。

路線概要と接続点

本路線の起点は三次市粟屋町若屋に定められており、ここでは主要な地域間を結ぶ広島県道64号三次美土里線と交差・接続しています。県道64号は、三次市中心部から西方面へのアクセスを担う重要な道路の一つです。一方、終点は三次市秋町であり、ここでは国土の主要幹線である国道54号と接続しています。国道54号は、広島市と島根県を結ぶ大動脈の一部であり、この県道が国道に接続することで、地域から広域ネットワークへのアクセスを提供しています。広島県道429号若屋秋町線の総延長は3.23キロメートルです。

地理的特徴と沿線環境

この路線が通過するのは広島県三次市のみであり、三次市内の特定地域間を連絡する役割を担っています。地理的な特徴として最も大きいのは、前述のように一級河川である江の川の左岸をたどる点です。この区間の江の川は、三次盆地を形成する重要な河川であり、沿線からは河川の穏やかな流れや周囲の山並みを望むことができます。ただし、河川沿いであるため、増水時には影響を受ける可能性も考慮される地域です。沿線には、E2A 中国自動車道に設けられている江の川パーキングエリアが近接しています。

路線の歴史的変遷

広島県道429号若屋秋町線は、比較的長い歴史を持つ路線の一つです。その始まりは1960年（昭和35年）10月10日に遡ります。この日、広島県告示第682号に基づき、「若屋秋町線」として広島県道152号に認定されました。これは、当時における三次市内の地域間交通の需要に応えるため、既存の道路を県道として整備・管理する体制を整える一環であったと考えられます。

その後、1972年（昭和47年）11月1日に行われた広島県の県道路線番号再編により、現在の路線番号である429号に変更されました。この県全体の番号再編は、路線の整理や管理効率化を目的として実施されたものです。

また、この路線は自然災害による影響も経験しています。特に記憶に残る出来事として、1971年（昭和46年）7月1日に発生した集中豪雨が挙げられます。この豪雨による出水により、三次市粟屋町地内を流れる上村川に架かっていた城山橋が崩壊するという甚大な被害が発生しました。これにより、該当区間は長期間にわたって通行不能となり、地域住民の生活や物流に大きな影響を与えました。このような災害の経験は、その後の道路整備や防災対策にも少なからず影響を与えていると考えられます。

通行規制に関する事項

広島県道429号若屋秋町線の重要な特徴の一つとして、総延長3.23キロメートルの全線が異常気象時通行規制区間に指定されている点が挙げられます。この指定は、大雨による河川の増水や土砂災害の危険性、冬季における積雪や路面凍結など、異常気象時に安全な通行が困難となる恐れがある区間であることを示しています。特に河川沿いの低地を走る区間があるため、出水に対する脆弱性が考慮されている可能性があります。異常気象時には、道路管理者の判断により通行止めなどの措置が取られるため、利用者は気象情報や交通情報に注意が必要です。

路線の位置づけ

三次市内において、広島県道429号若屋秋町線は、粟屋町と秋町という地域間を結ぶ地域幹線道路としての役割を担っています。起終点で主要な県道や国道に接続していることから、単なる地域内移動だけでなく、広域的な移動をサポートする機能も持っています。全長が短いながらも、江の川沿いの景観を楽しみながら通行できる一方、過去の災害や異常気象時規制区間指定が示すように、自然条件に対する配慮が求められる路線と言えます。地域の生活や産業活動を支える上で、その維持管理は重要です。

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