広島県道433号穴笠三次線

広島県道433号穴笠三次線は、広島県三次市内を通過する計画の一般県道です。その起点は三次市西河内町、終点は三次市十日市東5丁目の上原交差点と定められています。本路線は1996年 4月25日に広島県の告示第469号によって認定されました。

路線の概要と現状

この路線は、その名称に「穴笠」という地名を含んでいますが、起点は三次市西河内町とされており、西城川左岸に位置する三次市穴笠町には現在、県道は全く通じていません。なぜ実際の起点と異なる「穴笠」が路線名に採用されたのかは、現時点ではっきりとした理由は不明です。西城川右岸を経由する県道186号新市三次線の改良計画に伴い、将来的に穴笠地区を経由する経路変更が検討される可能性も示唆されていますが、名称の由来は依然として謎に包まれています。

路線の計画自体は、2002年に広島県備北地域事務所がまとめた「備北地域発展プラン」においてその経路が示されています。しかし、認定から長期間にわたり、本路線は全線にわたって区域決定がなされない状態が続いていました。広島県が毎年発行する国県道一覧表においても、2014年度版までは路線全体が区域決定未了として表記されていました。この状況に変化が見られたのは2015年度版からで、実延長として938.7メートルが計上され、「一部区域決定未了」という表現に改められました。

この一部区間の区域決定は、具体的な日付は公表されていませんが、三次市三次町から終点の上原交差点に至る区間（県道434号和知三次線予定区間の一部から上原交差点手前まで）で進められていた市道上原願万地線の街路整備工事が2014年 11月4日に完了したことが契機となったものと推測されます。この市道として整備されていた上下2車線の区間が、県道433号の一部として区域決定されたと考えられます。当初の「備北地域発展プラン」では終点が上原北交差点とされていましたが、2018年1月時点の三次市管内図では、上原北交差点から上原交差点までの区間も含めて県道433号として示されていること、および区域決定された距離を踏まえると、現在の終点は上原交差点と判断されています。

計画上の位置づけと今後の見通し

広島県道433号は、県道186号新市三次線や県道435号木呂田本郷線などと連携し、三次市中心部と三次市君田地区を結ぶ広域的な道路ネットワークの一環として構想されていた可能性が指摘されています。しかし、三次市と君田地区を結ぶ主要なルートである県道39号三次高野線は既に改良が完了していることから、本路線の今後の具体的な整備着手は当分先になる可能性が高いと考えられています。

また、仮に本路線が起点の穴笠町と三次市中心部を直接結ぶルートとして想定された場合、三次町や畠敷町方面から穴笠町へ到達するには、比叡尾山城が位置する尾根を越える必要があり、地形的な課題が存在します。一方で、穴笠町方面へのアクセス改善については、県道とは別に、尾根の東側を通る四拾貫町・後山町の谷筋を経由する三次市道の四拾貫後山線などにつながる市道穴笠畠敷線の一部区間で、1.5車線程度の拡幅や改良が進められており、別の形での地域アクセス向上が図られています。

管理権限

特筆すべき点として、三次市は2007年 10月26日に、本路線を含む三次市内で完結する県道20路線の管理権限を広島県から移譲されています。したがって、今後仮に未整備区間が県道として整備され編入されたとしても、現行の制度が維持される限り、路線の管理は三次市が行うことになります。

路線データおよび地理

起点：三次市西河内町（広島県道186号新市三次線との交点）
終点：三次市十日市東5丁目（上原交差点、国道183号および国道375号との交点）
総延長：938.7メートル
実延長：未定（上記総延長は区域決定区間の長さに相当すると考えられます）
* 重複予定区間：広島県道434号和知三次線予定（三次市畠敷町 - 三次市三次町・願万地交差点）

地理的には三次市内を通過し、重複が予定される県道434号和知三次線予定区間には、馬洗川を渡る願橋があります。沿線にはふれあいセンターみよしや、学術的に重要な船佐・山内逆断層帯などが位置しています。

まとめ

広島県道433号穴笠三次線は、名称と実際の起終点が異なり、長らく計画のみで区域決定が進まなかったものの、近年一部区間が県道として区域決定された、複雑な経緯を持つ路線です。広域的な道路網の一部として構想された可能性がありながらも、今後の整備の見通しは不透明であり、名称の由来も含め、多くの点が未解明なままの現状です。三次市が管理する県道として、今後の動向が注目されます。

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