広島県道65号大崎上島循環線

広島県道65号大崎上島循環線

広島県道65号大崎上島循環線（ひろしまけんどう65ごう おおさきかみじまじゅんかんせん）は、広島県豊田郡大崎上島町内を通過する主要地方道として位置づけられています。この県道は、瀬戸内海に浮かぶ豊かな自然に恵まれた大崎上島を、時計回りにほぼ一周する形で結ぶ島内唯一の環状路線です。その総延長および実延長は32.9キロメートルに及び、島の海岸線に沿って延びています。

路線の起点は大崎上島町大串に位置する大串港であり、終点は同じく大串地区内の字恋地と定められています。島内の主要な港や集落、行政施設などを結ぶ重要な幹線道路であり、島民の日常生活や物資の輸送を支える基盤となっています。

この路線の歴史は古く、1960年10月10日には既に広島県告示第682号によって「広島県道281号大崎上島循環線」として認定されていました。その後、1972年11月1日に行われた広島県の県道番号再編に伴い、路線番号が「356号」へと改められました。さらに、1982年4月1日には建設省（現在の国土交通省）告示により主要地方道に指定され、その重要性が改めて認識されることとなりました。主要地方道としての指定は1993年5月11日にも改めて行われています。

行政区域の変遷も路線の定義に影響を与えました。2003年4月1日、大崎上島内にあった豊田郡大崎町、木江町、東野町が対等合併して豊田郡大崎上島町が新たに発足したことにより、この県道は全線が新設された大崎上島町内を通過する路線となりました。これに伴い、起終点の地名表記も当時の豊田郡大崎町大串から豊田郡大崎上島町大串へと変更されています。

現在の路線状況としては、島の東岸部に特に狭隘な区間が残っている箇所が見られます。これは、かつて旧木江町中心部以北の沿岸部において顕著であり、この地域を通過する際には注意が必要です。島外からの利用者が多いフェリーターミナル、例えば大西港や白水港などには、こうした狭隘区間の存在について注意を促す標識が設置されており、安全な通行が呼びかけられています。

島を一周するこの路線上には、いくつかの構造物も存在します。その一つが恋地トンネルです。このトンネルは、大崎上島町明石と同町大串の間を結んでおり、全長は606メートルに及びます。島の地形に合わせて建設されたこれらの構造物は、円滑な交通を確保する上で重要な役割を担っています。

本路線は全線が豊田郡大崎上島町内を通過し、島内の主要な地点を結んでいます。途中で交差する主要な道路としては、中野地区で広島県道357号大西大西港線と、東野地区および木江地区で広島県道358号大田木ノ江線と接続しています。

沿線には、大串港や白水港といった島の玄関口となる港湾施設をはじめ、大崎上島町の行政の中枢である役場本庁や、大崎・木江の各支所が点在しています。教育施設としては、広島県立大崎海星高等学校や広島商船高等専門学校があり、多くの生徒や学生の通学路としても利用されています。その他にも、鮴崎郵便局や広島県警察竹原警察署大崎上島分庁舎といった生活関連施設や公共機関が沿線に位置しています。また、島の観光資源として知られる「きのえ温泉」もこの県道からアクセス可能です。大崎上島循環線は、単なる交通路としてだけでなく、島の歴史や文化、人々の暮らしを結びつける重要なライフラインとしての役割を果たしています。

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