広島鎮台

広島鎮台：明治期の陸軍拠点

1873年から1888年まで存在した広島鎮台は、明治政府が全国に設置した6つの鎮台の1つでした。中国地方西部と四国地方を管轄し、広島に司令部を置いていました。鎮台とは、平時は治安維持、戦時は防衛を担う重要な軍事拠点です。

広島鎮台の設置と管轄

明治維新後、反乱の鎮圧や国防の強化のため、日本政府は全国に鎮台を設置しました。広島鎮台は、1873年（明治6年）、鎮台の数を4から6に増やす際に新設されました。

広島鎮台の管轄区域は第5軍管と呼ばれ、中国地方西部と四国地方に相当する広大な地域でした。この軍管は、さらに2つの師管に分けられました。中国地方は広島鎮台直轄の第11師管で、歩兵第11連隊が配置されました。四国地方は丸亀を拠点とする第12師管で、歩兵第12連隊が配置されました。

鎮台には、歩兵連隊の他に、砲兵第5大隊、工兵第5小隊、輜重兵第5小隊、そして下関の海岸砲隊が配備されました。ただし、騎兵部隊は配備されていませんでした。平時の兵力は4340名、戦時は6410名と計画されましたが、当初は計画通りの兵力配置には至らず、歩兵連隊の編成にも時間を要しました。

1885年の改編

1885年（明治18年）、鎮台条例が改正され、6つの鎮台の戦力が均一化されました。各鎮台は、歩兵2個旅団（4個連隊）、騎兵1個連隊、砲兵1個連隊、工兵1個大隊、輜重兵1個大隊で構成されることになりました。

広島鎮台では、歩兵連隊が広島に第11連隊と第21連隊、四国に第12連隊（丸亀）と第22連隊（松山）の4個連隊に編成される予定でしたが、他の兵科は広島に集中配置される計画でした。しかし、この改編も計画通りには進まず、1885年時点では従来からの第11連隊と第12連隊しか完成していませんでした。残りの2個連隊が完全に編成されたのは、鎮台が廃止される1888年になってからのことです。

鎮台の廃止と師団への移行

1888年（明治21年）、鎮台制は廃止され、師団制に移行しました。広島鎮台は、そのまま第5師団に改編されました。その後、日清戦争では広島大本営となりました。

部隊の編制

広島鎮台の部隊編制は、1873年と1885年で大きく変化しました。1873年時点では、歩兵第11連隊（広島）、歩兵第12連隊（丸亀）、砲兵第5大隊、工兵第5小隊、輜重兵第5小隊、下関砲隊から構成されていました。1885年時点では、歩兵9旅団、10旅団、騎兵第5連隊、砲兵第5連隊、工兵第5大隊、輜重兵第5大隊、そして補充部隊が加わった大規模な組織となっていました。

人事

広島鎮台の司令長官や司令官、参謀長には、明治政府において重要な役割を果たした多くの軍人が就任しました。司令長官、司令官、参謀長には、それぞれ複数の人物が交代で就任しており、それぞれの在任期間が記録に残されています。

まとめ

広島鎮台は、明治期の日本陸軍において重要な役割を担った軍事拠点でした。その組織や変遷を理解することは、明治期の日本軍の状況を把握する上で不可欠です。本稿では、広島鎮台の設置から廃止、師団への移行までを、可能な範囲で詳細に解説しました。しかし、資料の不足から、不明な点も残されています。今後の研究が期待されます。

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