広江駅

広江駅（ひろええき）

岐阜県岐阜市にかつて存在した、名古屋鉄道（名鉄）名古屋本線の駅です。現在の岐阜市加納南広江町にあたる場所に設けられていました。

歴史

広江駅は、1914年（大正3年）6月2日に美濃電気軌道笠松線（現在の名鉄名古屋本線の一部区間）の起点駅として営業を開始しました。同年12月26日には新岐阜駅（現在の名鉄岐阜駅）まで路線が延伸され、広江駅は中間駅となりました。

開業当初の美濃電気軌道は、その後の会社の統廃合を経て、路線の所属先が変遷していきます。1930年（昭和5年）8月20日には美濃電気軌道が名古屋鉄道（初代）に吸収合併され、笠松線の駅となりました。さらに同年9月5日には名古屋鉄道（初代）が名岐鉄道と改称し、同社の笠松線の駅となります。1935年（昭和10年）4月29日には、須ヶ口駅と新岐阜駅間が名岐線とされたため、広江駅も名岐線の所属となりました。同年8月1日には名岐鉄道が現在の名古屋鉄道（2代）に社名を改称し、名岐線の駅となります。

太平洋戦争後、鉄道網の再編が進み、1948年（昭和23年）5月16日には豊橋駅から新岐阜駅までの区間が名古屋本線と統合され、広江駅はこの名古屋本線に組み込まれました。

かつて広江駅は、新岐阜駅への延伸後も、優等列車である特急や急行が停車する主要駅の一つとして機能していました。しかし、1958年（昭和33年）1月10日に状況が変化します。名古屋本線の名鉄一宮駅方面にあった安良田町駅（1944年（昭和19年）に営業休止）が、加納駅として営業を再開したのです。再開業した加納駅は、急行停車駅としてホームや駅舎などが設備一新されました。これに伴い、広江駅は停車する列車種別が普通列車のみに限定され、駅の地位が低下しました。その後は、普通列車の一部も通過設定されるようになります。

そして、優等列車の停車駅としての役割を終えてから約10年後の1968年（昭和43年）1月7日、広江駅はその約53年間の歴史に幕を下ろし、廃止されました。

駅構造

広江駅は、道路を挟んで互い違いにホームが配置された、相対式ホーム2面2線を持つ構造でした。各ホームの有効長は2両分でした。

現在の状況

駅として機能していた場所の痕跡は一部に残されています。下り線のプラットホーム跡地には、かつての構造物の残骸が見られます。一方、上り線のホーム側に存在していた小さな駅舎は既に撤去され、現在はその跡地に信号機器箱などの鉄道関連機器が設置されています。

隣接していた駅の変遷

広江駅の両隣の駅は、開業から廃止までの間に何度か変化しています。

開業時（美濃電気軌道笠松線）
安良田町駅 - 広江駅

1914年12月26日（当駅 - 新岐阜間開業後）
安良田町駅 - 広江駅 - 加納駅（初代）

1944年（安良田町駅 営業休止後）
茶所駅 - 広江駅 - 新岐阜駅

1958年1月10日（加納駅（2代）営業再開後、以降廃止まで）
加納駅（2代） - 広江駅 - 新岐阜駅

注：初代の加納駅は新岐阜駅寄りにありましたが、現在（2代目）の加納駅はかつての安良田町駅が営業を再開したもので、名鉄一宮駅寄りに位置しています。また、新岐阜駅は広江駅廃止後に名鉄岐阜駅と改称されています。

関連事項

* 廃駅

広江駅は、短期間ながら地域の主要駅として機能した時代と、その後の地位低下、そして最終的な廃止という、鉄道駅の役割の変化を示す事例の一つと言えるでしょう。

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