広瀬宰平

広瀬宰平：住友財閥の礎を築いた初代総理人

広瀬宰平（1828年 - 1914年）は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した実業家であり、初代住友総理人として知られています。近江国（現在の滋賀県）に生まれ、別子銅山の近代化を主導し、住友財閥の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと別子銅山との関わり

広瀬宰平は、北脇家の次男として生まれました。9歳の時、別子銅山の支配人をしていた叔父に連れられ別子に移り住み、11歳で別子銅山に奉公することになります。1855年には、住友家当主の推薦により、広瀬家の養子となりました。

別子銅山の近代化

1865年、広瀬宰平は別子銅山の総支配人に抜擢されます。当時、別子銅山は旧態依然とした経営が続いていましたが、宰平は近代化の必要性を痛感し、積極的に改革を推進しました。フランス人技師を招いて技術指導を仰ぎ、部下を海外に留学させるなど、西洋の技術を導入することに尽力しました。その結果、わずか4年で鉄道が開通するなど、別子銅山の近代化は目覚ましい発展を遂げました。

明治維新と住友の存続

明治維新の際、新政府は別子銅山を接収しようとしましたが、宰平は新政府の代表であった川田小一郎を説得し、住友による経営の継続を認めさせました。この功績により、住友は基盤を守り、さらなる発展を遂げることができました。

住友家の家政改革と独裁体制

1877年、広瀬宰平は住友家の総理代人に指名され、住友家の経営権を委譲されました。しかし、その独裁的な権限に対しては、住友内部から批判の声が上がるようになります。事業戦略上の対立や、家法改革に対する不満などが背景にありました。

晩年

1894年、広瀬宰平は総理人を辞任し、第一線を退きました。1914年に85歳で亡くなり、大阪市にある住友家の菩提寺に埋葬されました。

功績と評価

広瀬宰平は、別子銅山の近代化を主導し、住友財閥の基礎を築いた功績で高く評価されています。しかし、その一方で、独裁的な経営手法や公害問題など、負の側面も存在しました。広瀬宰平は、日本の近代化を支えた偉大な実業家であると同時に、その功績と課題を後世に伝える存在として記憶されています。

広瀬宰平を演じた人物

榎木孝明 - TBSテレビ 新春スペシャルドラマ「百年の計、我にあり －知られざる明治産業維新リーダー伝」（2016年）

関連書籍

佐藤雅美『幕末「住友」参謀―広瀬宰平の経営戦略』（講談社文庫、1990年）
* 本宮ひろ志『猛き黄金の国』（集英社文庫、2004年）

もう一度検索