廃皇后 (順治帝)

廃皇后（はいこうごう）

廃皇后は清朝の順治帝の皇后で、彼女の名はエルデニブンバ。モンゴルのホルチン部出身であり、姓はボルジギト（博爾済吉特）氏です。彼女の物語は権力の渦巻く中での複雑な人間関係と、最後には悲劇的な運命を迎えます。

経歴の初め

廃皇后の父、ウクシャン（烏克善）は、順治帝の生母である孝荘文皇后の兄でした。これにより、彼女は非常に重要な血筋を持つこととなります。廃皇后は、順治帝の側妃の一人であった悼妃の従妹であり、さらには順治帝の二番目の皇后である孝恵章皇后や、その妹である淑恵妃とも血縁関係にありました。このように、彼女は清の皇室において非常に特別な位置を占めていました。

順治8年（1651年）、彼女は叔母である孝荘文皇后の手によって、またその権力を背景に持つドルゴン（順治帝の叔父であり、摂政王）によって選ばれ、正式に皇后に昇格します。

皇后としての生活と性格

新たな皇后としての地位を手に入れた廃皇后は、容姿と立ち居振る舞いで周囲に強い印象を残しました。彼女は非常に聡明で器用な女性であったと言われていますが、それにもかかわらず嫉妬深く、浪費癖があり、わがままで傲慢な一面も持ち合わせていました。このような性格は、やがて順治帝との関係に亀裂を生じさせる要因となります。

失脚とその後

廃皇后と順治帝の間の問題は、彼女が帝に対して持つ権力や影響力に関する不満から来ていたと考えられます。また、順治帝がドルゴンを深く憎んでいたため、廃皇后がドルゴンによって選ばれたことは、彼女にとって不利に働きました。結果、順治10年（1653年）には皇后の地位を剥奪され、静妃に降格されることになります。

その後の廃皇后の運命については、彼女が故郷であるホルチン部に戻ったと言われていますが、詳しい記録は残っていません。彼女の人生には多くの謎があり、その姿は次第に歴史の彼方へと消えていきました。

伝記と関連項目

廃皇后に関する情報は主に『清史稿』に記録されており、その存在は清朝の歴史において重要な位置を占めています。また、彼女と同様に諡号のない皇后として知られる清高宗継皇后（乾隆帝の二番目の皇后）とも関連があります。これらの女性たちの物語は、清朝の複雑な権力構造や人間関係を反映しており、当時の社会状況を知るための貴重な手がかりとなっています。

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