廈門事件

廈門事件について

廈門事件（あもいじけん）は、1900年の8月24日から9月7日の間に、中国の清国福建省廈門で発生した重要な歴史的事件です。この事件は、当時台湾を抑えていた日本が、対岸の福建省への影響力を強化しようとした軍事行動が未遂に終わったものです。以下では、この事件の背景、経過、およびその後の影響について詳しく解説します。

背景

1900年の夏、清国では義和団事件が勃発し、列国の軍隊が北京や天津地域で動き出していました。義和団事件では、外国の公使館が攻撃され、さまざまな国々が緊急対策に追われていました。この混乱の中で、ロシアが中国の東北地方における主要都市を占拠し、実質的にその影響力を拡大させていく一方、英仏両国は上海を拠点にして居留民の保護を名目に陸軍を派遣するなど、列強の勢力争いは激化していました。こうした背景の中で、日本政府も福建省への進出を考え始めていました。

廈門事件の経過

日本は長らく台湾を支配しており、その対岸にあたる福建省への影響を強めることを目指していました。しかし、廈門への軍隊を派遣する際、列国の反応や国際情勢を慎重に見極めたため、判断に迷っていました。そんな中、8月10日に廈門占領を閣議決定し、さらに8月15日に義和団事件の救出活動が実施されたことで、情勢が変化し始めました。

8月24日の早朝、廈門市内で東本願寺布教所が焼失しました。これは後に謀略とされる放火事件であり、その治安維持の名目で、台湾総督の児玉源太郎と民政長官の後藤新平は日本海軍陸戦隊を廈門に上陸させ、占領計画を推進しました。この行動の結果、廈門に駐在する日本領事からの出兵要請があり、台湾に駐留していた軍隊が廈門へと向かうこととなりました。

撤兵の決定

しかし、廈門占領に対する反発は強かった。英国、米国、ドイツなどの列強からの抗議が相次ぎ、とくに英国は自国の水兵隊を上陸させるなど対抗措置を講じました。こうした反響を受けて、日本政府は派兵の正当性を見直し、児玉源太郎は指示を受けて出兵を中止、輸送船を引き返させる決定を下しました。こうして、海軍陸戦隊も他国の領事との協議を経て撤兵が行われました。

この一連の出来事を通じて、日本は軍事的な行動を断念し、国際関係の維持を優先させることになりました。事件の責任を曖昧なままにして、処罰される者もいなかったことが特筆すべき点です。

その後の展開

後の展開として、台湾総督府による南清地域への影響拡大は、軍事ではなく経済を通じた「対岸経営」という形で進められました。義和団事件による列強との緊張関係を軽減させつつ、自国の経済的な利益を追求する姿勢が示されたのです。

このようにして、廈門事件は日本の対中政策において重要な教訓となり、列強の圧力の中での慎重な外交を促すこととなりました。

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