廊ノ坊重盛

廊ノ坊 重盛 (くるわのぼう しげもり) について

廊ノ坊 重盛は、江戸時代において那智山の有力な社家・潮崎氏の一員です。潮崎氏は、熊野地方で最古級の有力豪族であり、鎌倉時代にはすでにその名前が記録に残っています。彼らの本拠地は現在の串本町周辺であり、歴史的には室町時代に太地氏と共に瀬戸内海の海賊討伐にひと役買い、足利幕府からの感謝状を受けています。

略歴

廊ノ坊は戦国時代には潮崎と名乗っていましたが、関ヶ原の戦い後に家が再興され、新たに存続していた潮崎氏と区別するために汐崎と名乗るようになりました。この時期、廊ノ坊は新宮に居を構える戦国大名・堀内氏と対立していました。廊ノ坊は那智勝浦町の勝山城で堀内氏との合戦に臨みましたが、三ヶ月に及ぶ籠城戦の末に敗北を喫し、撃たれました。

興味深いことに、廊ノ坊が打たれた数日後、浜の宮の住民たちは「大きな光り物が現れた」との報告をしています。この現象は廊ノ坊の魂の現れではないかと考えられており、後にゲームなどで描かれる不思議な力の源となったと言われています。

家が再興された際には、廊ノ坊の子供たちが主導権を握り、「汐崎」を名乗ることになりました。この復興には、有力大名である藤堂高虎の助力が重要な役割を果たしたと伝えられています。廊ノ坊の子供たちは、その母方の実家である色川氏の庇護を受けていました。色川は山間部に位置しており、堀内氏も攻めることができませんでした。

したがって、豊臣秀吉の時代に色川氏は堀内氏に属さず、秀吉の兄である秀長に仕える藤堂高虎に従うことになりました。色川氏は高虎と共に朝鮮に出兵した歴史も持ち、高虎の支援を受けていたことは色川氏の美談として伝えられています。

現在、那智山の中で最も位の高い家系は潮崎氏が当主を務めた尊勝院です。この尊勝院は宿坊として今も存在し、その歴史を物語っています。対照的に汐崎氏は龍寿院としても知られ、もう一つの重要な家系を形成しています。

廊ノ坊 重盛の歴史は、長い年月にわたって複雑な家系図や戦闘を経て、現在の熊野地方における重要な文化的背景を形成しています。彼の物語は、地域の歴史を理解する上で欠かせない要素となっているのです。

参考文献

• - 那智勝浦町史
• - 熊野歴史研究 (熊野歴史研究会編集)
• - 坂本顕一郎『平維盛の真実』文芸社、2010年10月1日。ISBN 978-4286093390

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