廊下 (漁場建築)

廊下（ろうか）とは

廊下は、江戸時代後期から昭和初期にかけて、北海道から樺太にかけて存在したニシン漁場で、獲れたニシンの一時的な保管を目的として建設された倉庫のことを指します。この建物は、ニシン漁業が盛んだった地域で特に重要な役割を果たしていました。

構造と設計

廊下の設計は機能的で、魚の集積や行き来のしやすさを重視していました。廊下は海岸に近い場所に建てられ、海から小石を取り除き、粘土で固められた床の上に木造、柾葺きの切妻屋根を持つ建築物です。特に前方の板壁が取り外し可能な設計になっており、ニシンがスムーズに運び込まれやすくなっています。大きなものであれば、内部には約700から800石の生ニシンを収蔵できました。

ニシンが収まりきらない場合は、屋外に魚坪（なつぼ）と呼ばれる一時的な収蔵場所を作り、これを竹やすだれで囲ったりして場所を確保しました。ニシンは水揚げ後に運搬係によって廊下や魚坪に一時的に置かれ、その後、鰊粕や身欠きにしんなどに加工されました。しかし、冷蔵設備がないため、魚は常温保存され、特に魚坪では塩を散布して劣化を防ぐ工夫がされていました。

文化的意義

魚坪の設置自体がニシンの大漁を意味し、大漁があった際には「魚坪洗い」と称される祝いが催されました。これは中のニシンを処理した後に行われ、漁夫や雇われた女衆に手ぬぐいを配り、酒や牡丹餅、まくり汁が振舞われました。特に、大量のニシンを処理する際には、底に収められたニシンが圧力で水分を抜かれ、「ローカつかれ」と呼ばれる状態になることがありました。この状態のニシンは、特定の山菜を詰めて煮た「まくり汁」として食べられることが多く、独特の風味が楽しめたといいます。

漁が終わると、廊下の床を清掃し、再度「魚坪洗い」を行い、漁具の修理や漁夫への報酬支払いを経て、送別会「あごわかれ」が開催されました。廊下は漁期の後は船の格納庫としても利用され、漁船の搬入を妨げないように設計がされています。

まとめ

廊下は漁業と地域文化の重要な一部であり、その独特な構造や使用方法は、当時の漁業の実態を反映しています。このような伝統的な漁法や文化は、現代においても考慮されるべき貴重な資源であり、地域の歴史を理解する手助けとなります。

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