廣瀬誠 (柔道)

廣瀬誠：視覚障害者柔道界の先駆者

廣瀬誠（ひろせ まこと）は、1976年11月22日に愛知県西尾市で生まれた日本の柔道家です。視覚に障害がありながらも、柔道の60kg級で活躍し、彼の人生は数々の挑戦と成功の物語で成り立っています。168cmの彼は、愛知県立名古屋盲学校の教員を務める傍ら、高い技術を持つアスリートでもあります。

早期の柔道の道

廣瀬は西尾東高校に入学した際、柔道を始めました。彼は元々運動が得意ではなかったものの、友人たちとの結びつきが深まり、驚くほど柔道にのめり込んでいきました。高校2年生の時に視神経萎縮という病気により視力を失いましたが、柔道仲間の支えが、少なからず彼の心の支えになりました。

専門的な道へ

高校卒業後、彼は岡崎市の盲学校に進み、あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師の資格を目指しました。その後、筑波大学の理療科教員養成施設で学ぶ傍ら、柔道も続け、実業団チームの東レで練習を重ねました。やがて彼は視覚障害者柔道に出会い、これを通じて数多くの大会に参加。初めて出場した大会では、驚きのことに連続優勝を果たしました。しかし、健常者相手の練習では思うような結果が出せず、悔しさを抱く日々も送っていました。

教員とアスリートの二足の草鞋

大学で教員免許を取得後、廣瀬は治療院で働きましたが、やがて愛知県立名古屋盲学校に教職の空きができたことを知り、2004年に教員としての道を歩み始めました。ここで彼は教育者として、また柔道家としての道も両立させます。柔道競技において彼は2004年のアテネパラリンピックに出場し、決勝まで進出。残念ながらキューバの選手に敗れましたが、銀メダルを獲得しました。

パラリンピックの挑戦

その後、2008年の北京パラリンピックでは7位、2012年のロンドンでは5位と成績が振るわない時期もありました。特にロンドン後は引退を考えましたが、彼には3人の娘たちがいます。彼女たちにとっての良き模範でありたいと願い、再び柔道に情熱を注ぎました。リオデジャネイロパラリンピックでは、決勝まで進むも、1位のウズベキスタン選手に敗れる結果となりましたが、再度銀メダルを獲得しました。

引退と新たな挑戦

競技からの引退後も、廣瀬は柔道を続けており、2012年からは柔術にも挑戦しています。2006年に音楽教師と出会い結婚し、三人の女の子の父親になりました。彼は家庭や教育の場でも、柔道の精神を大切にし続けています。彼の人生は、障害を乗り越え成し得た成功と、その背後にある苦労が織り交ぜられたものです。柔道は彼にとって単なるスポーツではなく、生き方そのものとなっています。

主な戦績

• - 2004年 - アテネパラリンピック 2位
• - 2008年 - 北京パラリンピック 7位
• - 2011年 - IBSAワールドゲームズ 3位
• - 2012年 - ロンドンパラリンピック 5位
• - 2014年 - アジアパラ競技大会 5位
• - 2015年 - IBSAワールドカップ 3位
• - 2015年 - IBSAワールドゲームズ 3位
• - 2016年 - リオデジャネイロパラリンピック 2位

彼の足跡は多くの人々に影響を与え、希望を与えています。

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