延長引き分け再試合規定

延長引き分け再試合規定について

延長引き分け再試合規定は、日本高等学校野球連盟が設けた、高校硬式野球における重要なルールの一つです。この規定は2000年に改正され、延長戦で勝敗が決まらなかった場合、試合が引き分けとなり、後日再試合が行われる形になりました。一方、降雨などによって延長試合に進まずとも引き分けとなるケースもあり、これらの状況で再試合が行われることがあります。現在では、全国大会や地方大会でタイブレーク方式が導入されており、試合の進行に新たなルールが加わっています。

再試合規定の背景

高校野球の歴史を振り返ると、黎明期には延長戦の回数に制限がなく、試合が非常に長引くことがありました。具体的な例としては、1933年の中京商と明石中の対戦が挙げられます。この試合は延長25回まで行われ、勝敗が決しないまま打ち切りが宣告されました。その後も、試合の延長規定については長らく未整備のままでした。

延長引き分け再試合の導入を促進した出来事として、1958年の春季四国大会での板東英二選手の活躍が挙げられます。板東選手は、対高知商戦で延長16回、さらに翌日の対高松商戦で延長25回を両方とも完投し、二日間で41イニングを投げたことが話題となりました。この試合を見た高野連の幹部は、試合の延長による選手への負担を考慮し、延長引き分け再試合の制度を制定するよう働きかけました。

延長回数の短縮と影響

板東選手は、1960年に行われた第40回全国高等学校[[野球選手権大会]]で、準々決勝の対魚津高校戦で引き分けの後に再試合を行い、初めてこの規定が適用される事例となりました。その後の42年間、延長18回を引き分けた場合には再試合が行われる運用が続きました。

しかし、1998年のPL学園対横浜高校の試合で、松坂大輔選手が延長17回を投げる中で選手の健康への懸念が生じ、この問題が改めて議論されることになりました。2000年には、延長15回制へ短縮され、その後、再試合の方法にも新たなルールが加わることとなりました。

これにより、15回引き分けの場合には後日再試合が行われるか、抽選によって上位チームを決めるかを選ぶことができました。ただし、抽選による決定は全国大会では適用されないことが明記され、実際には後日再試合が行われていました。

タイブレーク方式の導入と再試合の廃止

2018年の春の第90回記念選抜高等学校野球大会および夏の第100回全国高等学校野球選手権記念大会から、延長戦においてタイブレーク方式が導入されました。この方式の採用により、延長回数に制限が設けられることなく、勝敗が決まるまで試合が続けられるようになりました。したがって、70年の歴史を経て延長回数が無制限に戻ることとなりました。

2021年に新型コロナウイルスの影響もあり、再試合規定は廃止される判断が下されました。延長戦ではタイブレーク方式が適用され、決勝戦での再試合は行われないことになりました。さらに、2022年からは試合が中断された場合は、中断した場面から再開する「特別継続試合」という新たなルールが適用され、全国大会では再試合そのものがなくなる結果となりました。

再々試合の際立つ例

歴史の中には、再試合が行われても勝敗が決まらず、再々試合に進む事例も存在します。例えば、2003年の第85回大会において、大野東と敦賀気比との対戦が延長15回に及び、5対5で引き分けとなり、その後の再試合でも再び引き分けました。最終的に行われた再々試合では、敦賀気比が勝利を収め、総イニング数は39に達して8時間42分の長時間の試合となりました。このように、延長引き分け再試合規定は数々の名勝負を生み出す根底にある重要なルールであったと言えるでしょう。

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