建国大学

建国大学の歴史と教育

建国大学（けんこくだいがく）は、1938年に満洲国の首都・新京に設立された国立大学である。その設立は日本の「アジア大学」構想から影響を受け、当時の国務総理大臣を兼任する形で、若干の修正を経て成立した。満洲国皇帝の溥儀も出席した開校式は、国際色豊かで民族協和を促進する場として、高い倍率を勝ち抜いた学生たちの集まりとなった。

教育理念と学び

建国大学は、学問の深さを探求しながら、社会の発展に寄与する指導者を育てることを目的とした。この理念は「建国大学令」によって表現され、学生たちにはテストが一切ないという特異な特徴を持つ。学習成果は自己管理によって評価されるため、成績順位を気にする必要がなかった。これは、実践を重視する教育方針を示している。

学科は旧制大学の予科と本科に分かれており、政治学、経済学、文科などが設けられ、全寮制の生活環境で多民族の学生が共に学ぶ場を創り出した。図書館は約15万冊の蔵書を有し、共産主義に関する書籍も特例で配架された。学生には月5圓が支給され、長期にわたって国費で運営されたため、金銭的な負担はなかった。

戦争の影響

日中戦争が激化する中、大学は変化を余儀なくされた。1941年には中国人学生が反満抗日活動に関与して逮捕され、また日本人学生は戦争動員のために次々と学徒出陣となった。それでも、残された学生たちは大学の蔵書を整理し、中華民国の図書館に寄附するなど、健全な活動を続けた。戦後、参加した多くの学生は厳しい運命をたどりながらも、互いの友情を育んでいた。

戦後の変遷

1945年8月18日に満洲国が崩壊し、23日の解散式をもって建国大学は閉校を迎えた。その後、大学は長春工業会計統計専門学校へと改称され、最終的に長春大学となった。建国大学の卒業生や元教職員は、様々な分野で影響力を持ち、戦後もその絆を維持していることが多い。

教員と学生の多様性

大学には日本人のみならず、満洲人、中国人、朝鮮人、ロシア人など多様な学生が在籍していた。このような国際交流の場は、学生たちが互いに理解し合うための貴重な機会となった。著名な教員には、平泉澄や崔南善などが名を連ねており、和を重んじる教育活動に従事していた。

まとめ

建国大学の歴史は、単なる学びの場を超えて、多民族の共生と理解を促進する実験的な場でもあった。その運営や教育方針、国籍を超えた友情は、戦後の社会においてもなお影響を与えています。秩序ある学びの場が失われた後、その理念や活動は多くの卒業生の人生に引き継がれており、この大学の存在は今も記憶され続けています。

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