建築積算士

建築積算士：建築工事費の専門家

建築積算士は、公益社団法人日本建築積算協会が実施する試験に合格することで得られる国家資格です。建築工事の費用を正確に算出する専門家として、建設業界において重要な役割を担っています。本稿では、建築積算士の資格概要、試験内容、行政機関や業界団体における評価などについて詳細に解説します。

資格制度の変遷

建築積算士制度は、1979年に社団法人日本建築積算協会の民間資格「建築積算士」として始まり、1990年には国土交通省告示により「建築積算資格者」として公的資格となりました。その後、行政改革に伴い2001年に再び協会独自の資格となり、2009年には再び名称を「建築積算士」に変更しました。現在に至るまで、建築コスト管理の専門性を高めるための制度改革が継続的に行われています。また、2012年には公益社団法人日本建築士会連合会とCPD制度に関する覚書を締結し、継続的な能力開発における連携を強化しています。

資格認定

建築積算士の認定は、日本建築積算協会が実施する試験に合格し、登録することで得られます。試験は一次試験（学科試験）と二次試験（実技試験・記述式試験）の2段階で行われます。一次試験は建築積算に関する基礎知識を問う筆記試験で、建築積算協会が認定する建築コスト管理士、建築積算士補、建築士、建築施工管理技士、積算学校卒業生、過去に一次試験に合格した者は免除されます。二次試験は、建築積算の実務能力を測る試験です。記述式と実技試験から成り、実技試験では図面に基づいた数量計算や内訳明細の作成などが課されます。

試験内容

一次試験: 3時間、50問の4肢択一式問題。建築積算ガイドブック、建築数量積算基準・同解説、建築工事内訳書標準書式などが試験範囲です。合格基準は概ね6割の正答率です。
二次試験: 短文記述試験（1時間、2問）と実技試験（4時間30分）。記述試験は建築積算ガイドブックの一部章を範囲とし、実技試験は図面に基づく数量計算と内訳明細作成です。合格基準は概ね6割の正答率です。
* 受験資格: 受験年度の4月1日現在満17歳以上

建築積算士補

建築積算士補は、日本建築積算協会が認定する建築積算士補認定校で所定の教育課程を修了し、認定試験に合格した者に与えられる資格です。建築積算士の一次試験が免除され、二次試験の受験料が半額となる優遇措置があります。

行政機関や業界団体における評価

建築積算士は、国土交通省や都市再生機構などの行政機関において、競争入札への参加資格要件として評価されています。地方公共団体においても、建設工事入札参加資格審査や設計業務委託における資格要件として指定されているケースが多くあります。特に、沖縄県や沖縄市などでは、一級建築士や一級施工管理技士と同等、あるいはそれ以上の評価が与えられています。さらに、公共建築設計者情報システム（PUBDIS）にも登録でき、損害保険登録鑑定人制度では専門鑑定人Aとして登録可能です。

まとめ

建築積算士は、高度な専門知識とスキルが求められる国家資格であり、建設業界において重要な役割を担っています。本稿で解説した内容が、建築積算士を目指す方々、そして建築業界の関係者の方々の理解を深める一助となれば幸いです。

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