建部政辰

建部政辰（たけべ まさとき）は、江戸時代前期から中期にかけての人物で、播磨国（現在の兵庫県）林田藩の世嗣（藩主の跡継ぎ）でした。通称は主水（もんど）といい、藩主一族の中でも重要な立場にありました。

生涯

政辰は、林田藩の3代藩主である建部政宇（たけべ まさたか）の長男として生まれました。嫡子として、将来の藩主となることが期待されていました。貞享2年（1685年）には、江戸幕府の4代将軍である徳川綱吉に拝謁し、その存在を公に示しました。これは、藩の将来を担う人物として、幕府にも認知されたことを意味します。

しかし、政辰は若年の頃から病弱であり、そのことが彼の運命を大きく左右することになります。元禄16年（1703年）、政辰は病弱を理由に廃嫡されることとなりました。藩主の跡を継ぐことができなくなったのです。これは、彼にとって非常に不運な出来事でした。藩主の座を継ぐことは、武士にとって最大の目標であり、その機会を失うことは、その後の人生に大きな影響を与えます。代わって、政辰の弟である政周（まさちか）が、一族の他家から養子として迎えられ、新たに嫡子となりました。この結果、政辰は藩主となる望みを絶たれ、藩の歴史からその名前が消えかけることになります。

廃嫡された後の政辰の生活は、あまり記録に残っていません。しかし、彼はその後も林田藩に留まり、藩の一員として過ごしたと考えられます。享保14年（1729年）、政辰は57歳でこの世を去りました。彼がどのような晩年を送ったのかは定かではありませんが、病弱でありながらも、藩のために尽力したと考えられます。

まとめ

建部政辰は、藩主の嫡子として生まれながら、病弱のため藩主となることができなかった悲運の人物です。彼の生涯は、江戸時代における武士の身分と健康状態が、いかにその後の人生を左右したのかを示す一例と言えるでしょう。政辰の存在は、林田藩の歴史において、藩主の継承という重要な問題を考える上で、欠かすことのできない要素となっています。

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