建部政宇

建部政宇（たけべ まさのき）は、江戸時代前期から中期にかけての大名で、播磨国林田藩の第3代藩主を務めました。官位は従五位下・内匠頭です。初代藩主・建部政長の五男として生まれ、幼名は三十郎、後に主水と名乗りました。初名は政吉でした。

寛文9年（1669年）12月、先代藩主で兄である建部政明が死去したため、その養嗣子となり、寛文10年（1670年）2月27日に家督を継ぎました。同年12月28日には叙任されています。政宇は、禁裏造営奉行や寺社奉行などの要職を歴任し、藩政に尽力しました。

また、政宇は絵画にも優れた才能を発揮し、狩野常信に師事してその腕を磨きました。文化人としての側面も持ち合わせていたと言えるでしょう。

さらに、政宇は吉良義央の親戚にあたる人物でした。そのため、伏見奉行を務めていた際には、京都山科に隠棲していた大石良雄の動向を警戒していたと伝えられています。このことから、赤穂事件にも間接的に関わっていたことが窺えます。

正徳5年（1715年）1月26日、政宇は69歳で死去し、跡は次男の政周が継ぎました。墓所は京都市北区紫野にある大徳寺芳春院です。

系譜
父：建部政長（1603年 - 1672年）
母：不詳
養父：建部政明（1638年 - 1670年）
正室：板倉重形の娘
生母不明の子女
長男：建部政辰（1673年 - 1729年）
次男：建部政周（1674年 - 1757年） - 建部光成の養子、のち離縁して政長の嫡男となる
女子：内藤忠種正室
女子：猪飼晴光室
女子：有馬氏倫正室

建部政宇は、大名としての職務をこなしながらも、文化的な才能も開花させた人物でした。また、赤穂事件という歴史的な出来事にも、その血縁関係を通じて関わっていたという点で、興味深い人物と言えるでしょう。

もう一度検索