弓の清水

弓の清水（ゆみのしょうず）

富山県高岡市常国に存在する弓の清水は、平安時代に由来する歴史的な名所です。この地は源義仲にまつわる興味深い伝説が語り継がれています。

伝説の背景

歴史は、源義仲が越中浜街道を西へ進んでいた折、六動寺（今の射水市六渡寺）で本軍を宿営していたときにさかのぼります。時は寿永2年5月10日、義仲は兵士たちが喉の渇きを訴えるのを受けて、地元の農夫である松原大助に水のありかを尋ねました。すると、大助は義仲の馬の前に跪き、「ここに清き水がございます」と語りかけます。この言葉に触発された義仲は、馬から降り、弓を手に取りました。

彼は「私が平家の賊を滅ぼすことができるなら、泉よ、湧き出でよ」と宣言し、弓をもって地面を突くと、突如として清水が湧き出したと言われています。この出来事は軍の士気を大いに鼓舞し、義仲軍は5月11日の朝に倶利伽羅峠へ向けて出発しました。

現在の評価

弓の清水は優れた水質を誇り、「とやまの名水百選」にも名を連ねています。さらに、2008年には環境省から「平成の名水百選」にも選定され、その清らかさは今なお評価されています。

地元の文化と名物

この地域では、松原姓の家族が多く見られるほか、松原という地名（現在の射水市串田）も存在します。弓の清水を用いることで、流しそうめんなどの名物料理が誕生し、観光客にも人気を博しています。また、六芳焼という手焼き菓子は、弓の清水で仕込んだ生地であんこを包んでおり、この地域の特産品として親しまれています。六芳焼本舖は松原姓の家族が経営しており、店名は「松原清松堂」として地域に根付いています。

まとめ

弓の清水は、富山県高岡市の歴史や文化を象徴する場所です。源義仲の伝説と共に、この清水は地域の人々に愛され、様々な名物を生み出し続けています。訪れる際は、その歴史深い背景とともに、静かに流れる清水の恵を味わってみるのも素晴らしい経験となるでしょう。

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