弓山喜代馬

弓山喜代馬氏（1900-2002）は、激動の20世紀を生きた日本の牧師であり、特にペンテコステ運動の発展と、日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団の設立・指導において極めて重要な役割を果たしました。その101年に及ぶ生涯は、深い信仰と教育への情熱に貫かれていました。

1900年8月1日、愛媛県に生まれた弓山氏は、青年期に教会と関わりを持ち始めます。特に、姉の突然の死という出来事が、彼の人生の方向性を大きく変えました。当初、医師を志し岡山医科大学へ進学しますが、学業の傍らで信仰が深まり、次第にキリスト教の働きに生涯を捧げる「献身」へと導かれていきました。

1922年、弓山氏はペンテコステ教会を訪れる機会を得ます。この頃、個人的な困難として離婚を経験し、以降生涯を独身で過ごすことを決意しました。同じ時期に、ペンテコステ派の指導者であるC・F・ジュルゲンセン氏の息子、J・ジュルゲンセン氏と出会い、共に聖書を深く学びます。この交流を通じて、弓山氏はペンテコステ派特有の教えや体験に強く惹きつけられ、特に「異言」を伴うとされる聖霊体験を自身も経験しました。この出来事は、彼のその後の働きに決定的な影響を与えました。以降、彼はアメリカから来日していたペンテコステ派の宣教師たちと協力し、精力的に伝道活動を展開していきます。

1928年、弓山氏は東京の神召教会に牧師として迎えられます。伝道活動を進める中で、教会が担うべき重要な役割の一つが、次世代の伝道者を育成することであると強く認識しました。この必要性に応えるため、弓山氏は神召教会内に「聖霊神学院」を設立し、教育活動にも力を注ぎ始めました。

第二次世界大戦後、日本のプロテスタント教会は再編の時期を迎えます。1949年3月、日本基督教団から離脱したペンテコステ派を中心とするグループが、弓山氏が牧会する神召教会に集まり、創立総会を開催しました。ここで正式に「日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団」が結成され、弓山氏はその初代理事長に選出されます。これは、彼が日本のペンテコステ運動において指導的な立場にあったことを示す出来事でした。

教団設立後も、弓山氏は教育の重要性を変わらず重視しました。1950年には、聖霊神学院を発展させる形で、「中央聖書神学校」が日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団の正式な教育機関として認可され、弓山氏はその初代校長に就任しました。神学校の運営を通じて、教団の将来を担う人材の育成に尽力しました。

弓山喜代馬氏は、その後も教団の指導者として、また教育者として働き続け、2002年2月、101年の生涯を閉じ、天に召されました。その長い生涯において、彼は日本のペンテコステ運動の基礎を築き、多くの人々に信仰を伝え、次世代の指導者を育て上げました。彼の功績は、日本のキリスト教史、特にペンテコステ派の歴史において高く評価されています。

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